研究
2022.05.17
ここからは「分子から『生きもの』になりました」という時間の点
アマミナナフシ
①細胞(生物は細胞から成り立っている)
②DNA (DNAは物質(分子)です。この物質が遺伝子情報を担うとる。分子が暗号のコードになっとると、このことを鵜吞みに覚えて下さい。)
③細胞膜(DNAはこの中で働いて遺伝する)
【『生物学個人授業』岡田節人先生著より】
「かたちの議論はかたちで終わることなく はたらきを考えなくてはなりません。存在・意味・時間などなど 多くのことも。」
【『「かたち」について』橋本主税先生からのお返事より】
「両親のゲノムが1つの細胞として、はたらき始めるのは卵子と精子が受精して接合体になり、それが2つに分裂した時です。」
【『ゲノムが刻む 生きものの時間』平川美夏先生より】
あ・・・
[受精前の卵子]→はたらいていないから物質である。
[精子]→卵子まで泳いでいく(はたらいている!)から生きものである。
[受粉してまだ受精していない卵子]→まだ生きものではない?
[受精後2つに分裂した卵子]→はたらき始めるから生きもの!!
卵が2つに分裂した時が「分子から『生きもの』になりました」という時間の点かも・・・。
2022.05.17
1. 齊藤わか(表現を通して生きものを考えるセクター)
記事をお読みいただき、お考えを書き込んでいただきありがとうございます。
生きものも分子で構成されているので、生命と非生命の区別は難しいのですが、地球で見つかっている生きものの共通点としてよく挙げられるのは「膜をもつ」「自己複製をする」「代謝する」「進化する」の4点です。生きものの構成単位となる細胞の脂質膜やDNA、タンパク質などの分子がそのはたらきを支えています。受精卵や生殖細胞は、個体とはいえませんが細胞であるということはできます。
季刊「生命誌」104号で、細胞の進化や私たち真核生物の起源などを特集しましたのでよろしければご覧ください。
https://www.brh.co.jp/publication/journal/104/rp/
さて、引用いただいた季刊「生命誌」108号の、『ゲノムが刻む 生きものの時間』からの一節については、平川美夏スタッフからの下記の補足コメントをお伝えします。
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「両親のゲノムが1つの細胞として、はたらき始めるのは卵子と精子が受精して接合体になり、それが2つに分裂した時です。」
の主語は「両親のゲノム」で、それが「一つの細胞としてはたらきはじめる」ということを言っています。この文章は「人間」について述べていますが、卵子も精子も「生きた細胞」ですが、個体としての「人間」とは言えません。
卵子と精子は、卵管で受精します。卵子は受精によって最後の減数分裂を終え、ようやく母方のゲノムの1セットの用意ができます。精子が運んできた、父方のゲノムは、卵子に融合し中に入ります。母方、父方のゲノムは前核にそれぞれ取り込まれ、最初の分裂のためにゲノムを複製します。2つの前核は接近し、分裂のときには一緒になりますが、最近の研究で、最初の分裂のときは、それぞれが別々に2つの娘細胞に分かれると見られています。そこで、「2つに分裂したとき」と表現したのですが、そのため受精の瞬間を「生命の誕生」と考えるのか疑問が生まれています。「人間」の始まりについては、さまざまな考えがありますので、ご自身でも調べてみてください。
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以上です。どうぞよろしくお願いいたします。