展示や季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【生きものの物語りを楽しむ紙工作】
2015年2月2日
当館の研究館グッズは、生命誌研究の一部を持ち帰って日常の中で生きものについて考えてもらうための表現セクターの大切なものづくり、発信の場の1つです。昨年12月、子どもたちを対象に生命誌の紙工作使ったワークショップを2回開催しました。使ったのは収斂進化がテーマの「他人のそら似」シリーズ。「タラバガニとズワイガニ」や「ハリネズミとテンレック」など形はそっくりだけど、別々の進化の道を歩んできた2つの生きものの物語りを楽しむ紙工作です。せっかく作ってもらうのだから、背景にある進化の物語りを楽しむのはもちろん、生きものの歴史と関係に思いをはせ、自然の一部として生きる楽しさ喜びをかみしめてほしい。小さな子どもたちにどうやって語ればいいのか、思い悩み紙芝居を作ることにしました。なるべくシンプルな言葉を使おうと、生きものの特徴「変わる」と「続く」をキーワードに生命誌の思いや進化について語る構成にし、本番前はお昼休みに館員を前に予行練習を重ねました。「子どもの目を見て語りなさい!」、「一方通行の発信はダメ、子どもの声に耳を傾けろ!」、「そんなんじゃ1分で飽きられるぞ!」と村田チーフ(4歳児の父)から、叱咤激励をいただきながら腕を磨く日々。
特訓のかいがあり、子どもたちと語り合いながら無事にワークショップを終えることができました。予想外だったのは、子どもたちの知識の豊富さ。1年生の男の子がDNAや核の存在を知っていたり、「進化」という言葉は幼稚園の子も含めほとんどの子どもたちが知っていました。図鑑などでよく勉強していたり、「進化」はゲームの中で知るのかもしれません。高度情報化社会の現在、子どもたちが日常で触れる情報も増大しているのでしょうか。改めて、生命誌としてはお勉強してもらうのではなく、「生きているってどういうことだろう」と一緒に考え、そして自分なりの生命観や問いをもってもらえるような、場づくりを目指していきたいと感じました。ちょっとの時間でしたが、ワークショップを通して子どもたち真剣なまなざしに元気をもらいました。また、生命誌の紙芝居づくりに挑戦しようと妄想しています。
高槻家族講座でのワークショップの様子。
札幌子育て支援型アートイベントでのワークショップの様子。