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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【研究者との距離】

2012年8月15日

岡本朋子

ロンドンで開催されていたオリンピックが昨日閉会しました。Liveでみてナンボねーと意気込んで睡眠不足に陥り続けた2週間でしたが、やっと安眠できそうです。女子レスリングの吉田沙保里選手の決勝戦には奇声を発するほど興奮しましたし、女子柔道の松本薫選手の闘志に燃えた姿は、まるで蛇を狙うラーテルのようでとてもキュートだったことも印象に残っています。

さて、話はぐぐっと変わりますが、つい先日、琉球大学のグループにより、福島第一原子力発電所で起きた事故の際に飛散した放射性物質がヤマトシジミチョウの奇形をもたらしている可能性を議論した論文が出版されました。様々なところで取り上げられていたので、みなさんも一度は目にされたかもしれません。私たちが普段生活していて入ってくる情報の多くは、数百字程度にまとめられ、断定的に書かれたものが目立ちます。研究者が語る言葉とマスメディアに流れる言葉が必ずしも一致するわけではなく、時に研究者の意図しない内容に変換されてしまうことも多いと感じます。たとえば、「~の可能性が考えられる」の部分を「~を明らかにした」と書くのでは大きな違いがあります。また、著者がやや大袈裟にコメントした部分がとりあげられることもあります。

では与えられた情報がどの程度信頼できるものか?というのはどのように判断すればよいのでしょうか?
今回のような場合は、まず元の論文を読んで、どのような状況でデータがとられたものか、どのような結果から結論を導いたのかについて、つまり「放射性物質が福島のチョウの奇形をまねいた」と結論づけるにいたった過程を理解することが重要です。

けれど論文は英語で書かれていますし、普段論文を読まない人にとっては内容を理解することはハードルが高いと思います。けれど最近はTwitterやブログなどで研究者の方々が活発に議論を行っていますし、それらをうまくまとめてくれているものもあります。その気になれば議論に加わることができる機会があるのはとてもよいことですし、是非様々な情報を取り入れてみてください。先ほど例にあげた論文も、色々な方がインターネット上で議論をしていて、それを見ているだけでも楽しめます。

[ DNAから進化を探るラボ 岡本朋子 ]

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