研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【結果、良ければ・・・】
私が大学院生の頃所属していた研究室は非常に自主性を重んじること(言い換えれば、超放任主義?)で有名なところでした。(ちなみに生命誌カード42号で紹介されている堀田凱樹先生の研究室です。)とはいっても、さすがに入りたての頃は先輩方から徹底的に分子生物学的な実験を教え込まれたものです。当時の新入生のほとんどは、助手のMさんから実験を習うことが多かったのですが、しばらくして面白いことに気付きました。同じように教わったはずなのに数年経つとみんなそれぞれ少しずつやり方が違っているということです。例えば、アガロースゲルからDNAの目的のバンドを切り出して精製する時に、先輩のHさんは教わったよりもずっと丁寧にビーズを洗い、溶出にも時間をかけるようになっていました。同級生のSくんは、とにかく忠実にMさんの教えを守り、私はというと、いかに手を抜けるかということを重要視して随分簡略化していました。さらに先輩のKさんは他の研究室から情報を仕入れて、全く別の、カラムを使う方法で行うようになっていました。もちろんみんなアガロースゲルからDNAを抽出するという結果に関してはなんら問題はなく、充分その目的を達していました。当時はなんだか伝言ゲームみたいでおもしろいなと思っていただけでしたが、最近、生物の進化のことを考えるようになって、あの時見ていたみんなの行動が「ミニ進化」というか「疑似進化」というか、進化の一端を思い起こさせるようなものだったなと感じるようになりました。 |