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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【M.リカールさん来所】

1999.6.1 

 お知らせをしていたマチウ・リカールさんが来所されました。エンジと黄色の僧衣がよくお似合いの魅力的な方でした。外から、法然院の梶田真章管主、元大阪大学蛋白質研究所所長の泉美治先生などもいらして下さって、楽しく話し合いました。梶田管主は仏教のお立場からいつも科学への理解と共感を示して下さる・・・失礼な言い方を許していただけるなら、いつも気楽にお教えをいただける方です。因みに泉先生は最近「科学者が問う来世はあるか ― 科学と仏教の価値」(人文書院)をお出しになり仏教を唯識哲学の一つとして捉え、「心ある科学の時代」を開こうと言っていらっしゃいます。
 ところで、リカールさんのお話は、基本的には自然界はすべて相互依存というところから始まりました。ここに詳細は書きませんが、私の率直な感想だけ。西欧文明を体に泌みつかせた人がこの感覚になるには生物学を捨てて仏教に帰依することが必要だったのかもしれないけれど、幸い日本という風土に暮らしている私は、生物学なさってても悪くなかったのにという気がしてしまいました。生き方は人それぞれ。それを云々するつもりはありませんし、価値に重点を置くなら、やはり宗教だとは思いますが。まとまらない一言でした。


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