ラボ日記
2024.11.01
論文をプレプリントサーバで公開しています
9月に論文をプレプリントサーバに公開しました(https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2024.09.02.610731v1)。現在審査中の論文です。最近では審査前の論文原稿を公開することも普通になっています。審査の結果不採択になったり、大幅修正や再実験を求められて雑誌での正式な論文発表までに長い時間を要したりするケースも多々あるので、早くに研究内容を公開して引用できるようになるのは著者として一つのメリットです。
まだ審査を終えていないので多くのことは語れませんが、この論文は一緒に第一著者となっている西口茂孝さん(小田ラボ出身)がきっかけを作ってくれ、5年以上も前から取り組んできた仕事です。現在三重大学大学院工学研究科の鈴木勇輝さんにご協力いただいて、DNA origamiという技術をカドヘリン分子の構造観察に適用しようという試みです。DNAを素材としてナノスケールのブロック状に成形して、その構造体にカドヘリン分子を連結させ、電子顕微鏡や原子間力顕微鏡を使って、カドヘリン分子ひとつひとつを観察することができるようにしました。
カドヘリンは細胞間の接着の仕組みを担うことを通じて、動物の体の形作りに貢献します。隣の細胞に引っ張られながら細胞が形を変えたり、隣同士の細胞がズレたりするには力がかかります。カドヘリン分子にその力がかかっていると考えられています。細胞間の接触面で働くカドヘリンはただの糊ではなく、力に反応して秩序を生んだり、状態を変えたりすることができるのではないかというのが私の妄想で、その様子をなんとか可視化できないかと考えています。今回の論文では全くそんなレベルには達していませんが、研究のベクトルはそちらを向いています。
論文が雑誌に受理されて掲載されたら詳細を報告します。
まだ審査を終えていないので多くのことは語れませんが、この論文は一緒に第一著者となっている西口茂孝さん(小田ラボ出身)がきっかけを作ってくれ、5年以上も前から取り組んできた仕事です。現在三重大学大学院工学研究科の鈴木勇輝さんにご協力いただいて、DNA origamiという技術をカドヘリン分子の構造観察に適用しようという試みです。DNAを素材としてナノスケールのブロック状に成形して、その構造体にカドヘリン分子を連結させ、電子顕微鏡や原子間力顕微鏡を使って、カドヘリン分子ひとつひとつを観察することができるようにしました。
カドヘリンは細胞間の接着の仕組みを担うことを通じて、動物の体の形作りに貢献します。隣の細胞に引っ張られながら細胞が形を変えたり、隣同士の細胞がズレたりするには力がかかります。カドヘリン分子にその力がかかっていると考えられています。細胞間の接触面で働くカドヘリンはただの糊ではなく、力に反応して秩序を生んだり、状態を変えたりすることができるのではないかというのが私の妄想で、その様子をなんとか可視化できないかと考えています。今回の論文では全くそんなレベルには達していませんが、研究のベクトルはそちらを向いています。
論文が雑誌に受理されて掲載されたら詳細を報告します。
小田広樹 (室長)
所属: 細胞・発生・進化研究室
動物多様化の背景にある細胞システムの進化に興味を持っています。1) 形態形成に重要な役割を果たす細胞間接着構造(アドヘレンスジャンクション)に関わる進化の研究と、2) クモ胚をモデルとした調節的発生メカニズムの研究を行っています。