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研究館より

ラボ日記

2022.03.01

数理研究をする上で必要な言語

研究活動をする上で、英語は論文を読んだり書いたりするために使う必要があります。実は数理研究をする上では、プログラミング言語が数理モデルを構築するために必要となります。プログラミング言語は言語と名がつくので、自分が作りたい数理モデルをプログラミング(作文するようなこと)できるようになるためには、日本語や英語と同じように日々使って覚えていくことが重要だと感じています。この感覚は、まさに言語の学習と同じだと思います。私の例ですが、私はプログラミング言語としてC++やJavaやR言語などをよく使うのですが、自分で作成したプログラムコード(文章のようなもの)でも、しばらくそのコードに触れていなければ、自分が作ったはずなのに解読するのに時間がかかったりします。やはり、言語を学習するには日々使うことが重要なようです。ただ、作ったプログラムコードが他の人にも読みやすいかはまた別の問題ですが。

プログラミング言語は、使うコンピュータプログラムによって単語や文法が変わったりしますが、基本的な構造は、コンピュータが情報を認識して速く処理できるように、論理的な構造で正確に表現されます。そのため、一つのプログラミング言語を覚えれば、その後は比較的簡単に他のプログラミング言語によるプログラミングもできるようになる場合があります。この辺りも、英語を覚えれば、英語に似た単語や文法の言語(スペイン語やフランス語など)も覚えやすくなる部分で似ているかもしれません。

最近は、情報教育で小学生からプログラミングを習うようです。私は、大学生になってからプログラミングをやり始めた者なので、プログラミング言語を覚えるのにも時間や記憶力などの制限で苦労しました。今の小学生が、将来研究者になる頃には、プログラムミングを抵抗なくできる人が多くなり、プログラミングネイティブの人が増えるのでしょう。そうすれば、生体実験をしながら数理研究のプログラミングもできる人が多くなり、数理研究と生体実験の組み合わせも自在にできる人が増えることが期待されます。これは、さながら一人による実験と数理の共同研究のような研究スタイルがスタンダードな時代がくるかもしれません。
 

藤原基洋 (奨励研究員)

所属: 細胞・発生・進化研究室

生物の形作りにおける物理背景、特に力学に興味があります。力学を基にした数理モデルを構築し、コンピュータ上でクモ胚の形態形成を再現することで、生物の形作りのルールを見つける研究を行っています。