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今号テーマ

あなたがいて「わたし」がいる

陸上の生きものの歴史を振り返ると、およそ5億年前に植物が、次いで動物が上陸しましたが、その間に植物が陸上で暮らすための土を育む、細菌や菌類などの微生物の活動も始まっていたでしょう。その新たな環境が、昆虫などの動物の行動を促し豊かな陸上生態系が生まれました。生きものの関わりは、お互いを利用しながら、共に生きのび共存することで広がっていったのです。
パースペクティブでは、植物の生き方を他の生きものとの関わりを含めて観察し、新種発見にもつなげる末次健司先生が、日の当たらない環境に暮らす小さな花々にみる植物の知恵を語ります。スペシャルストーリーは、アドベンチャーワールドの山之内克紀さん、草食動物の大きな体を植物が支える反芻胃の秘密と飼育の工夫をお聞きします。食草園にやってくるチョウの紙工作は「ウラギンシジミ」。幼虫の時代も越冬時期も、植物をパートナーに身を隠す技が光ります。

PERSPECTIVE あなたがいて
「わたし」がいる

生きものは互いに関わり合って生きています。
植物は光合成で自ら養分をつくることができるため、動物や菌類など、多くの生きものに利用される存在ですが、植物も動物を利用して花粉や種子を運ばせます。土からミネラルを吸収する際には、根に共生した菌類の力を借りますし、落葉や枯れ木を分解して、植物がミネラルを再利用できるようにするのも菌類です。

植物を利用する生きものが集まると、そこではさらに複雑な関係が生まれます。今回は、植物なのに光合成をやめて菌類に寄生し、独自の生き方をするようになった植物について取材しました。また関わり合いの中で独自の生き方を編み出したさまざまな生きものについて、過去の季刊「生命誌」の記事から紹介します。

植物から見た様々な共生関係

植物から見た様々な共生関係の画像①
植物から見た様々な共生関係の画像②

アーカイブより

アーカイブより

PAPER CRAFT とび出す食草園のチョウ

ウラギンシジミ

翅を閉じた姿が白銀色に輝くウラギンシジミは、前翅長が20mmを超えるシジミチョウ科の中で大型のチョウです。翅を開くと褐色でオスはオレンジ、メスは青白色の斑紋で見分けることができます。一見目立ちそうな白銀色の翅は、日陰では葉の緑を反射して緑に見え、日光の下では葉の反射光に紛れて背景に溶け込みます。年に2-3回発生し、成虫で越冬します。光沢のある常緑樹の葉にうまく身を隠すことで、冬を乗り切っているのでしょう。

PAPER CRAFT
ウラギンシジミ
PAPER CRAFT

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2025/1/18(土)

『肉食動物の時間』