RESEARCH
境界を超えて、情報やものを容れる
細胞は膜で区切られ、外から必要な情報と物質を容れて生きています。細胞膜上で刺激の情報を受け取る受容体と、膜に包んでものを運ぶ膜交通のしくみの基本は、動物と植物で共通ですが独自な点もあり、それぞれの特徴を形づくっています。
今回は、動物の眼の光の受容体が、段階的な進化を経て私たち脊椎動物のもつしくみに至るという話と、植物の巨大な液胞を支える膜による輸送経路の話をとりあげました。いずれもタンパク質の分子内での変化、用いるタンパク質の組み合わせの変化など、小さな変化が進化につながっていきます。
「生命誌アーカイブでさらなる広がりを」
これまで生命誌で取り上げた800件近い記事の中から、関連の深い記事を集めました。
ここでは、関わり合うことで成り立つ生きものの世界を考えます。
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1.ゲーリング博士が語る 眼の進化の物語
ウォルター・ゲーリング 12号
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2.オートファジーの現場をとらえる ー細胞が自分を食べる理由
水島昇 45号
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3.ミクロの解剖学から体全体へ
廣川信隆 × 中村桂子 46号
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4.光合成に関わる蛋白質から知る植物の賢
栗栖源嗣 48号
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5.環境と会話して変化するやわらかなゲノム
郷康広 60号
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6.生きた膜を支える脂質の分子運動
梅田真郷 62号
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7.食性転換は食わず嫌いをやめることから
松尾隆嗣 62号
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8.アナログかデジタルか? 滑らかな動きを生む進化
西野敦雄 69号
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9.葉緑体と植物進化の光と陰
田中寛 85号
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10.高度な触覚センサとして活躍する小さな細胞
仲谷正史 90号