表現スタッフ日記
展示季刊「生命誌」を企画・制作する「表現を通して生きものを考えるセクター」のスタッフが、日頃に思うことや展示のメイキング裏話を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【チョウと…の共進化】
2002年11月1日
北地直子
「では、行ってきまーす」と出張に出かけていった工藤さんが、30秒後に舞い戻ってきた。
「なんかすごいケムシがいるのぉーー!!」
私の出番。早速そろって現場(BRHの玄関)へ行くと、玄関マットの上に体長5cmくらいの「すごいケムシ」が。黒くて長い毛が生えていて、体は黒地にところどころ黄色い。
「なんでしょうねコレ、初めて見ます」
恥ずかしながら「ガの幼虫(たぶん)」としか言いようがない。こんな時は「あ、○○○○○の終齢幼虫ね。サクラなんかによくつきますよ。」などと即座に言ってみたいものである。
種名までは分からないけれど、ケムシを移動してやる役目は果たせる。手に持ったまま出てきてしまっていたタックメモに乗り移らせて「飼ってみましょうよ!」と得意満面の私に、半ば呆れ顔の工藤さんをお見送りし、次なる出番は、BRHでたくさんのアゲハの幼虫を育てる小野さん(チョウと植物の共進化ラボ)。
「小野さん!これなんでしょうか?!」
「え、ガの幼虫でしょう。ドクガかな?」
鱗翅目の父は、この見知らぬケムシも、飼育ケースに入れてくれた。
そして…。

→次の日
「北地さん、これ」
「うわぁ!!」
→→→→4日後
「北地さん、こんなんなりましたよ」
「えぇ〜!?」

実は、その幼虫は、翌日にはケースの隅っこに繭をつくってサナギになっていた。何が食草か分からなくて心配していた私達はほっと一安心。
ところが…。
研究熱心な小野さんが、様子を調べようと繭を切ってみたところ、中にいたのは3匹の幼虫?!ハエに寄生されていたのだ。アゲハのサナギからも寄生バエが出たらしい。寄生バエは、宿主の幼虫を食べ尽くしてすぐさまサナギになる。
秋は、寄生バチより寄生バエにやられるのが多いという。どうやって寄生されるかというと、食草についている寄生バエの卵を、チョウやガの幼虫が食べてしまうらしいとのこと。

現在「チョウと「ハエ」の共進化ラボ」の小野さんと、寄生者の出現(羽化)を待っている。
飼ってみないとわからないものだ。



[北地直子]
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