「生命誌」を提唱する科学者・中村桂子の日常と、身近な生きものから三八億年の生命の歴史を探る生命誌研究館の活動を追ったドキュメンタリー。
日本大震災を経た今、「人間は生きものであり自然の一部」と語る中村のメッセージは、科学や芸術の枠を超え、共感の輪を大きく広げています。
三月十一日の震災の後、宮沢賢治を読み直した中村。「生命誌版 セロ弾きのゴーシュ」の舞台化、そして賢治の故郷である盛岡・花巻への旅を通して、自然と向き合い、暮らす人々と語り合いを続けます。
科学者として、生活者として、生きものを見つめる中村の姿から、自然との関わりの中に「いのちの音」を見出す賢治の生命観と「生命誌」の世界が重なります。
[ 主な出演 ]
中村桂子/末盛千枝子/新宮晋/伊東豊雄/赤坂憲雄/関野吉晴ほか。
●11月18日・19日両日上映
物語は、雪の降りしきる日の山荘で、三人の語り手による民話の語り聞かせから始まります。
宮城県内を中心に、古老の語りを次の世代に伝える「みやぎ民話の会」の小野和子さん。彼女を聞き手に迎えて、伝承の民話語りの場面が記録されました。語り手と聞き手の間に生まれる民話独特の「語り/聞き」の場は独創的なカメラワークによって記録され、新たな伝承映画となってスクリーンに再現されます。
猿に嫁入りした農夫の娘がもたらす残酷な結末や、ひょんな事から鼠の巣穴に入り富を持ち帰る正直者の話など、素朴に、訥々と語られる言葉は心に沁み渡り、民話の世界が広がります。
「民話の語り手がもつ言葉世界の豊かさにいつも圧倒されます」と語る小野。語り手の幼い頃の情景などを織り交ぜ、民話が人々の暮らしの中で如何に大切なものであったかがだんだんと明らかになります。民話が語られる背景への考察なども含め十数話を収録。本作は、震災の体験を語り伝える東北記録映画三部作の第三部として製作されました。
[ 主な出演 ]
伊藤正子/佐々木健/佐藤玲子/小野和子(みやぎ民話の会)ほか。
●11月18日・19日両日上映
今世紀最も偉大な写真家セバスチャン・サルガド。自然の保全や復元に尽力する環境活動家でもあります。死、破壊、腐敗といった人間の根源的なテーマに向き合ってきたサルガドは、ルワンダ内戦の悲惨な光景に深く傷つきます。故郷ブラジルでは、彼の心を写したような荒れ果てた大地が待っていました。
この出来事をきっかけに生まれたのが、ガラパゴス、アラスカ等、生と死が極限で交わる未開の場所で、地球のありのままの姿をカメラにおさめるプロジェクト「ジェネシス」です。サルガドは、「ジェネシス」は地球へのラブレターだと言います。それは人間を見つめ続けてきた男が紡ぎ出す、希望への祈りなのです。
[ 主な出演 ]
セバスチャン・リベイロ・サルガドほか。
●11月19日のみの上映