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研究員レクチャー チョウと植物の関係を大量データから理解する

詳細

日時

2017/06/17(土) 14:00〜15:30

場所

JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて

出演者

尾崎 克久研究員(チョウが食草を見分けるしくみを探るラボ)

参加方法

※参加無料
※事前申込不要

内容

 チョウの幼虫の食草は限られており、食草の変更が種分化に強く影響したと考えられています。しかし、食草選択がどのように行われているか、基盤となるしくみは十分に理解されているとは言えません。図鑑や論文には、チョウと食草の関係について多くの情報が蓄積されていますが、それらを全て読み込み記憶し、知識として活用するのは困難です。
そこで私たちは、日本のチョウについて文献情報をデータ化し、チョウと食草の関係と、植物化合物との関係を統計学的に解析しました。その結果、多くのチョウは基本的に特定の科の植物に依存していますが、ごく一部の種はエサとして毒性の低い植物を共有していることがわかりました。これは、チョウが食草を変える際に、一度「安全な」植物を利用し、その後に植物分類群としては大きく異なったとしても化合物レベルでは類似する植物へ移行した可能性を示しています。食性転換が起こるしくみを知る重要な手がかりです。
このようにコンピューターを外部の脳として使い、大量データから新たな知識を抽出する研究を紹介します。今春論文が出たばかりの旬の研究成果です。


ミカン科を食草とするナミアゲハ(下)とセリ科を食草とするキアゲハ(上)

このイベントを開催する研究員をご紹介

尾崎 克久 (室長)

  • 研究分野 昆虫学, 分子生物学, 生態学
  • 学位 博士(農学)

アゲハチョウを研究材料として、様々な生き物がどのように関わり合いながら「生きている」のか、分子の言葉で理解しようとしています。

チョウが食草を見分けるしくみを探る  昆虫食性進化研究室

レクチャーについて

JT生命誌研究館の研究員をはじめとするさまざまな分野の研究者が、探究と発見の日々をお話します。
進行形の研究、そこで考えたこと、苦労話など研究を身近に感じる絶好の場です。
レクチャーを聞いた後には、会場も一体となって話の輪が広がります。入場無料です。