生命誌ジャーナル

2015年間テーマうつる

生きものの特性は「膜・複製・代謝・進化」と教科書にあり、私たちもそう考えてきました。しかし、細胞、ミトコンドリア、葉緑体、ウイルスのすべてがもつゲノムを切り口にすると、本質は「複製」と「進化」ではないかと思えてきました。ここから改めて「生きている」とはどういうことかを問うのが今年のテーマです。

微生物との関わり合いから
「生きている」を考える

地球上のあらゆる場所に様々な微生物(細菌、単細胞真核生物)が棲んでいます。私たちヒトを含む生きものの体内にもです。近年ある環境に棲む微生物集団の遺伝子全体を知るメタゲノム解析が可能になりました。ゲノムを切り口に見直すと、培養が難しいために見えていなかった微生物の存在がわかり、これまで捉えていたのは微生物全体のわずか数%の世界だったことがわかりました。

細菌叢と私たちの健康の関係も盛んに研究され、ヒトゲノムだけでなく体内のメタゲノムを合わせてヒトが「生きている」を支えるはたらきを捉える時代がきました。微生物と宿主の関わりを知るには、微生物全体と個々のはたらきに注目した観察との両方が必要です。俯瞰と密画の視点を重ねた新しい生命像が生まれつつあります。

微生物研究を通して

身の周りにたくさんいるのに、目に見えない微生物たち。多様な視点を重ねることで彼らの複雑で巧妙な関わり合いが見えてきます。生命誌研究館ではつながりの中で生きる豊かな生きものの物語りを紡ぎ、自然の一部として人間がどう生きるかを考えています。