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  3. 季刊「生命誌」67号

今号テーマ

進化に編みこまれた面白い現象。

多様な生きものたちを見ていると、いくらでも知りたいことが出てきます。でも、ふと生きものってこの姿しかないのだろうかとも思うのです。

対談のお相手の長沼さん、サイエンティスト・ライブラリーの吉田先生のお二人が期せずして地球外の生物を手にしたいという願いを語っています。宇宙探査が進み、生命体の棲む惑星の存在の可能性は高まっています。二例目の生命体との出会いも絵空事ではなさそうです。

そんな時だからこそ地球上の生物たちが38億年という時間の中でどのように編みあげられてきたかをもっとよく知りたいという気持が強まります。極限環境も含め、地球の生命体をとことん考え、そこにルールを探りたいという気持を長沼さんと語りました。チューリングやL-システムなどとっかかりは見えている気がします。

DNA→RNA→タンパク質といういわゆるセントラル・ドグマを支えるtRNAの進化を捉えた藤島さん。ちょっといい加減で、しかも巧みに立ちまわる生きものの特性を、分子のジグソーパズルで見せてくれる楽しい研究です。ここでも極限環境に棲む古細菌が活躍します。分子だけでなく、社会性の進化もまさにちょっといい加減で巧み。三浦さんのシロアリ研究がそれを示します。分子から個体、社会と全体を捉える視点です。ATP合成酵素が回ってはたらくという思いもよらない事実を映像で示し、皆をうならせた吉田先生。若い頃から変らぬやんちゃ(失礼)が魅力です。(中村桂子)

TALK

生きもののルールの探し方

長沼 毅広島大学准教授
中村桂子JT生命誌研究館館長

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SCIENTIST LIBRARY

吉田賢右京都産業大学 教授 / 東京工業大学 名誉教授

ATP合成酵素がまわる不思議

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2010年年間テーマ

編む

愛づる、語る、観る、関わる、生る、続く、めぐる…と続いた動詞、今年は「編む」です。細胞をつくるDNAやタンパク質などの分子、個体をつくるさまざまな細胞、生態系の中の多種多様な生きものたち。個々についてのデータは溢れんばかりですが、これらがお互いに関わり合い、編み上げられていくプロセスが解けなければ「生きもの」は見えてきません。分子から生態系までさまざまな階層の研究から編み出される生きものの姿を見つめます。それを基本に世界を編集し、物語りを描き、生命誌の一幕を作っていきたいと考えています。

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2025/1/18(土)

『肉食動物の時間』