サマースクール 2017年度の報告

カエルとイモリのかたち作りを探るラボ
「実験発生学の金字塔「シュペーマンの実験」を体験しましょう」

今年のサマースクールは、女子高生お一人にご参加いただきました。多いときには希望者が10人を超えることもあったのですが今年は一人!ということで、彼女のペースに合わせて実験をしてもらおうと考えていたのですが、生徒さんの実験技術がすばらしく難しいことを簡単にこなしてしまって、二日目は時間が余ってしまい、お土産用の標本作製をゆっくりとしていただきました。

やっていただいたことは、例年どおり「シュペーマンの移植実験」と「遺伝子の受精卵への微小注射実験」です。前者の実験は、カエル初期原腸胚の原口背唇部と呼ばれる小さな領域(カエルの卵は直径1ミリあまりで、体積としたらその数十分の一)を切り取り、別の原腸胚に埋め込むことで2つ目の頭部や体軸を誘導するものです。この実験、実はかなり難しくて、元々のシュペーマンたちの実験では数百例の移植胚の中で生き残ったのは5例でした(もちろんこれには他の原因もあったのですが)。後者の実験は、シュペーマンの移植実験を遺伝子の注入でやってみようというものです。シュペーマンの移植実験の効果を発揮する遺伝子(シュペーマンオーガナイザーの原因遺伝子)のmRNAを卵割期の胚に顕微注入することでシュペーマンの移植同様に2つ目の頭を作ってみようという挑戦です。

冒頭にも書きましたが、今年の生徒さんは実に手際がよく、また実験も丁寧でした。実験の上手い下手はもちろん人によりますが、理由もなく(本当はあるのでしょうが)実験の上手な人はいます。周囲と同じように実験をこなしても、なぜだかこの人だけは失敗しないという感じの人で、理由を見つけられないものですから私などは「センス」のひとことで片付けたりします。今年の生徒さんはまさにこのセンスの際立つ方だったようです。将来は実験生物学の学者になられたら素晴らしい功績を残されるのではないか?と穿った期待をしてしまいます。

橋本主税(研究員)

参加者の感想

生命の神秘に触れる体験

参加者:K.K.

私は、幼い頃から生き物が大好きで、高校でも自然科学部の生物班に所属しています。家で、イモリを飼っていることもあり、初めてシュペーマンの実験を知った時はとても驚きました。「やってみたい」と思っていたもののなかなか機会がなかったのですが、部活の顧問の先生がこのサマースクールを教えてくださり、参加することにしました。

今回、このラボに参加したのは私1人でとても驚きましたが、そのぶんたくさんの経験をさせていただきました。まず、「インジェクション」をしました。髪の毛よりも細い針を卵にさして遺伝子を注射しました。初めは卵を潰してしまったり、なかなか刺すことができなかったり苦戦しました。

そして、もう1つの卵の移植の方では、なかなか切り取って中に移植できず、大変でした。かなり難しく、成功するのは稀らしいのですが、奇跡的に私の移植した4つの卵は全て成功していてとても嬉しかったです。この夏、生命の神秘に触れる体験をすることができて本当に良かったです。ありがとうございました。

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