サマースクール 2017年度の報告

DNAから進化を探るラボ
「DNAの塩基配列を比較して生きものの進化の歴史を探ってみよう」

今年のサマースクールは、昨年とほぼ同じ顔ぶれで中学生5名と一般の方1名、合計6名の皆さんを迎えて行いました。参加者の皆さんが興味のある生物種を持参して解析を行うのは、今年で3年目となりました。いつもサンプリングの段階から参加者の皆さんとやり取りをしますので、そこからサマースクールが始まっていると私たちは考えています。サンプリングの方法と注意点については、考えられる範囲で伝えてはいますが、今年は私たちが思いつかない質問がどんどん飛び込んできました(今後の改善点)。今回のサマースクールに対する皆さんの期待と情熱をサンプリングの段階からヒシヒシと感じていました。

皆さんが持参してきたサンプルは、昆虫類6種(アリ、カミキリ、ヒグラシ、バッタ2種、コオロギ)、甲殻類2種(エビとダンゴムシ)、ヤスデ1種、クモ1種と貝類2種、合計12種でしたが、各人2種ずつ担当して解析を行いました。組織からのDNA抽出、PCRによる目的DNA断片の増幅、塩基配列の決定、2日間様々な実験を行った結果、最終的にDNAの塩基配列が得られたのは12種のうちの7種(アリ、カミキリ、ヒグラシ、バッタ1種、エビ、ダンゴムシ、ヤスデ)でした。つまり残りの5種は解析に失敗したことになります。12種全部解析して結果的に良かったと思いますが、研究というのは失敗がつきものであり、成功のもとでもありますので、決して落ち込むことはありません。なぜ失敗したのか、その原因を追求することによって、研究が進み、新たな発見もできるかもしれません。皆さんはきっと失敗した原因を一生懸命に考えていたと思います。

昨年のサマースクールでは、参加者の皆さんに解析結果を解釈する時間が取れませんでしたので、今年はなんとか工夫してみましたが、結局発表会までにはやはり時間を作ることはできませんでした。発表会終了後、少し時間を頂いて結果の解釈が行えたので、それは良かったと思いますが、今後どうするか依然課題として残っています。

DNA解析の結果が出る前に、皆さんに生物種の形や生息環境、餌などの情報からそれらの系統関係を予測していただきました。皆さんの結果はDNAの塩基配列から作成した系統樹とは異なりましたが、生き物の姿を一生懸命思い出してそれらの関係を考えることは非常に大事なことです。生き物見ずにDNAだけを見ても真の進化が見えてきませんので、DNAの系統樹の枝先にいる生き物をしっかりと見つめることこそ、DNAの系統樹の価値が出てきます。今回のサマースクールに参加されたことで生物の進化に興味を持つようになっていただけたら嬉しく思います。

蘇 智慧(研究員)

参加者の感想

rRNA遺伝子の塩基配列を解析・比較して節足動物の系統関係を調べる

参加者:T.H.

DNAの抽出に筋肉を使用。ピペットの操作方法のポイントがわかりました。ゲル電気泳動でDNAが増えたかチェックしました。コオロギは増えていませんでした。精製後、シーケンスを行いDNA断片の塩基配列を決定、配列の読み取り、データーの整理、UPGMA法を用いて、系統樹作成を実施しました。ダンゴムシとエビ、アリとカミキリが近縁関係でした。rRNA遺伝子以外に、葉緑体DNA、ミトコンドリアDNAを用いた場合、近縁関係に差が生じるでしょうか。ミトコンドリアDNAは母方由来だそうですが、本当でしょうか。進化スピードの早いDNAと普通の速度のDNAがあるそうですが、この違いはどうして出来たのでしょうか。ミドリムシは細胞内共生によって、葉緑体とベン毛の強力な武器を兼ね備えましたが、進化速度はパワーアップしたでしょうか。今回サマースクールの機会を与えていただき、有難うございました。

貝の塩基配列の研究をしてみたい

参加者:H.N.

今回は「DNAから進化を探るラボ」に参加させていただきました。実験では正確に量をはかるピペットをよく使いました。今回はバッタとヤスデの研究をしました。シーケンサーでDNAを増やすのですが、今は機械一つでDNAを増やせることにびっくりしました。今は研究が便利な機械でできることはすごいと思いました。今回僕はバッタとヤスデ両方うまくいったのですが、他のもの、例えば貝などはうまくいかなかったそうです。たぶんうまくDNAが増えていなかったと思います。あと貝は体液とかの問題で難しいそうなので、研究できる機会があれば貝の塩基配列の研究をしてみたいなと思いました。今回の実験やJT生命誌研究館のことでDNAから進化を探るラボの方、かわいさん、西川顧問、その他いろんな方本当にお世話になりました。このたびはありがとうございました。

研究者さながらの実験

参加者:Y.N.

僕は学校の先輩に勧められて今回のサマースクールに参加しました。サマースクールに参加できることになったときは嬉しかったです。ラボの研究室の中には滅多に見ることができないような機械がたくさんあり、研究者さながらの実験ができました。実験では一つ一つの行程を説明していただきながら作業をすることができ、大きな失敗をすることもなく終わることができました。また、実験だけではなく生命誌についてのレクチャーやランチパーティー等がありそれらもとても楽しかったです。今回のサマースクールではDNAを使って進化の歴史を調べることを学ぶことができました。貴重な体験をさせていただきありがとうございました。

体験を忘れることがないよう、何度も振り返っていこう

参加者:K.K.

私は、「DNAから進化を探るラボ」に参加させていただきました。参加したいと思った理由は、数億年の進化の過程を自分で確かめてみたいと思ったからです。

当日、研究室の中には見たことのない器械が目の前に飛び込んできて驚きましたが、実際の分析作業にはもっと驚きました。5つの実験の最初の作業から、たくさんの薬品を使って分析することや遠心分離機を使った後に必ず容器を入れ替えていたことに、正確な結果を出すための厳しさも学びました。そうした実験を経て系統樹が完成し、進化過程を解析する事ができ、持ち寄ったサンプル昆虫から進化の過程を考察することができました。

今回のBRHの体験を忘れることがないよう、何度も振り返っていこうと思います。たくさんのことを学んだので、振り返るたびに新しい発見があると思うからです。BRHの先生方、今回のサマースクールに参加させていただき、ありがとうございました。

有意義な2日間

参加者:S.T.

私は、以前に宇宙に行ったアサガオの種を育てたことがあります。そのアサガオの木からたくさんの突然変異が出てきました。その時からDNAや遺伝などに興味を持ちました。やっと中学生になったので、サマースクールに応募させていただきました。

サマースクールの2日間は普段の学校生活では絶対に目にすることができないような最新の機械を使わせていただき、とても有意義な2日間になりました。また、実験中に出てきた疑問は丁寧に教えていただき、とてもうれしかったです。残念ながら実験をしていた2つのサンプルのどちらも納得のいかない結果でしたが、理由を考えるきっかけになりました。塩基配列の結果を見たときはとても感動しました。実験の合間や発表会のときに他のラボのお話を聞きとても興味がわいたので、他のラボにも参加したいです。

最後にJT生命誌研究館の皆さんありがとうございました。とても楽しい2日間になりました。

今後の研究などに生かしていきたい

参加者:Y.Y.

私がDNAから進化を探るラボに参加したのは、学校でやる実験よりももっと詳しくDNAを調べることができると聞いたからです。今までに見たことも無いような機械を使って実験するのは、うまくできるかどうか心配でしたが、研究員のみなさんが丁寧に教えて下さったので理解することができました。実験の空き時間に参加者全員で各々が持ち寄ったサンプルから系統樹を予測しました。どのような条件で分けるかによって結果が違ってきてしまうので、そのような主観的なものではなく客観的に判断するものが必要であり、今のところ、それがDNA解析だという話が印象に残りました。この体験を今後の研究などに生かしていきたいと思います。生命誌研究館の皆様、本当にありがとうございました。

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