サマースクール 2013年度の報告

表現を通して生きものを考える(SICP)セクター
「新新・生命誌絵巻を作ってみよう」

「生命誌絵巻」は、生命誌の考えを伝え、ともに考える表現として、38億年の生命の歴史絵巻に今生きるさまざまな生きものとその一つである私たち人間を美しく描いています。一方で、38億年は山あり谷あり、生きものたちは苦労の連続でやっと生きのびましたが、その背景には変動する地球の姿がありました。「新・生命誌絵巻」は、その厳しい道のりを和田誠さんらしいユーモラスな味付けで表現しています。今年のサマースクールでは、「新新・生命誌絵巻」を作ってみよう、という課題で先輩の絵巻たちに挑みました。スクール生は、日頃から生命誌を応援して下さっている保育士さんと高校生のお二人です。

絵巻を作ると言っても2日でできることは限られています。表現セクターの仕事はアウトプットとして表現を目指しますが、どうしてそれを表現したいのか、どうすればそれを表現できるのか、ひたすら考えることから始まります。今回のサマースクールでも、おなかいっぱい考えて考えて、見えてくるものを探ります。予め宿題で過去5億年の地球の大陸の変遷に気候を重ねた地図を塗り絵してありましたので、それぞれの時代の海が陸地がどのような環境だったかを想像します。スノーボールという全地球をおそった氷河期の後に海の動物が爆発的に多様化し、意外にも寒い時代に最初の森ができ、暑く乾いた大地に恐竜たちが爆発的に増えます。さまざまな環境の変化にじっと耐えたり、うまく適応したり、さらにいろいろな工夫がおきたり、生きものの種類によって栄枯盛衰があります。「5億年でええんちゃう」という西川顧問のアドバイスもあり、新新・生命誌絵巻は大陸移動と生きもののリレーとマラソンの5億年を中心に描くことに決めて1日目を終えました。

そして2日目、模造紙の上にそれぞれの時代に生きた生きものと地球の姿を重ねながら、絵巻のなかで語りたいことを掘り下げていきます。夢中で生きものを並べたかと思うと、何を表現したいのだろうかと考え込んで手を止めたり、そうしているうちにだんだん絵巻の姿が見えてきました。その作業をパソコンの上で再現しながら、発表会で語る物語を作っていきます。絵巻作りを通じて感じたこと、伝えたいことを言葉にするのも表現です。そしてとうとう新新・生命誌絵巻の物語ができあがりました。スクール生のお二人は2日で38億年分の生きものの気持ちになって、38億歳になってしまったのではないでしょうか。38億年の「生きる」をお土産にこれからも生命誌のお仲間としていっしょに考えていきましょう。

平川美夏(スタッフ)

参加者の感想

大切なギフト

参加者:R.M.

3年前に、中村桂子館長が中日新聞に掲載されるコラムから、JT生命誌研究館の存在を知り、愛知から研究館を訪ねました。研究内容の深さと斬新さ、その表現の素晴らしさに息を呑み、中でも表現を通して生き物を考えるセクターに非常に興味を持ちました。

今年5月に、縁あって看護専門学校でボディワークの授業「触れる実習」を担当することになり、JT生命誌研究館から生命誌絵巻の大型ポスターをお借りしました。看護士を目指す学生たちに、生命を捉えてもらう導入として、生命誌絵巻を使わせて頂いたのです。

そのような経緯があり、「新新・生命誌絵巻を作ってみよう」のサマースクールへの参加は、まさにタイムリーなギフトでした。

内容についていけるか?内心はドキドキしながらの参加でしたが、サマースクールでは、平川さんを始めとするスタッフの方々が、図鑑や絵、館内展示資料を掲示しながら、38億年の生命の歴史と地球史について、とても解りやすく解説して下さいました。この時、2つのことを強く感じました。

1つ目は、生命誌の表現には、膨大な知識と理解が必要だということ。それを、どのような視点でまとめ、解りやすく表現するかが重要であり、その上で、心にも響くものを作るということの大変さを実感しました。研究者の目と表現者の目の両方が必要だと強く感じました。

2つ目は、学ぶことは、なんと楽しいのだろうという感動です。スタッフの方々の生命誌の解説から、非常に大きな発見があり、驚きの連続でした。たとえば、地球の大陸の変動や気温の変動の歴史をたどっていく中、地球がダイナミックに動く生命体だと気づかされました。また、人類の誕生は地球の歴史からみれば、つい最近のことで、もし、白亜紀末に、隕石の地球への衝突がなく、恐竜が絶滅しなかったら、はたして人類は誕生していただろうか?という疑問から、はかりしれない偶然が重なり、現在の私たちが存在しているのだ!と実感しました。これらの感動が、新新・生命誌絵巻を作ろうという原動力になったと思います。

絵巻を作る作業の中で、生命の誕生から現代までの代表的な生きものの絵を並べましたが、その数の膨大なこと!!!整理がつかないほどです。絵巻への糸口として、ヒトから原初の生命へと生命の歴史をさかのぼって、1本の糸でつないでみました。私たちヒトの身体の中に、膨大な生きものたちの進化の歴史と、膨大な時間が途切れず息づいているのだと感じました。

そして、スタッフの方々の絶大なる協力のもとに、地球もひとつの生き物として捉え、地球の動きと生きものの興亡を共に表現した新新・生命誌絵巻を作ることが出来ました。相方の高校生のMさんと共に、非常に大きな達成感がありました。

新新・生命誌絵巻を作り終え感じたことは・・・
はかりしれない奇跡があって、地球に生命が宿り、はかりしれない奇跡が続き、ヒト(人類)が誕生し、はかりしれない奇跡の中で、今、私はここにいる。その奇跡に感謝の気持ちが溢れてきました。

同時に、ヒトが人として、この地球に生きる多様な生きものの一員として、私たちは、どのように生きていくべきなのか?大きな課題を頂いたと感じました。この課題を大切なギフトとして、これから育てていきたい。そのためにも、もっともっと生命誌のことを学んでいきたい。

T生命誌研究館の皆様、参加者の皆様、相方のMさん、本当にありがとうございました!
皆さんと過ごした2日間は、我が人生のとても大切な宝物です。心からお礼申し上げます。
これからも、JT生命誌研究館に学びに行かせていただきたいです。どうぞよろしくお願いいたします。

頭がバクハツしそうになった2日間

参加者:A.M.

私は小さいころから理科や読書が大好きでした。本を読むことのほかに本のデザイン・内装などを見ることも好きで、生命誌研究館のカードのファンでもありました。

そこで、今回のセミナーでは表現セクターに参加しました。まずは現在の絵巻に描かれていることを理解することから始まりましたが、これが大変でした。でも、久しぶりに学ぶことが楽しいと思えました。ただ勉強するだけでは何にもならないことに気がつきました。実際にやってみることの難しさも、色んな背景を持つ人と接することの面白さも、このセミナーに参加しなければ気がつかなかったことです。

参加中はへとへとに疲れたし、頭がバクハツしそうでしたが、参加してよかった。今はそう思います。スタッフの皆様、本当にありがとうございました。

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