サマースクール 2008年度の報告

DNAから共進化を探るラボのサマースクール
「DNAの塩基配列を比較して生きものの進化を探ってみませんか。」

これまでのサマースクールは主として昆虫の系統関係の解析をテーマにしてきましたが、今年は、範囲を広げて節足動物の系統関係を解明する実験を体験してもらいました。節足動物といっても、種の数があまりにも多すぎるので、どの種を選ぶのか、随分悩んでいました。ラボのスタッフ全員が考えた結果、クモ、エビ、ヤスデとセミという、節足動物門の代表的な生き物を使うことにしました。これまで身近な昆虫を使って、一見してその関係が分かり、DNAの配列を比較してもその通りの関係が証明され、DNAの塩基配列を比較すれば確かに生き物の系統関係を解明することができることを実感してもらうのは主旨でしたが、今回は、形だけをみるとなかなかその関係が分からない生き物のDNA配列を解析・比較することによって、それらの生き物の系統関係がはっきり解明できるというのは目的でした。

実験を始める前に、参加者の皆さんに今回使用した4種類の生き物の系統関係を考えてもらいました。足の数とか、頭、胸、腹がはっきり分かれていることとかなどを考える、鋭い見方もありましたが、やはり形から予想するのは難しく、さまざまな意見が出ましたが、結論は実験の結果を楽しみにすることで今回のサマースクールが始まりました。最初の実験はそれぞれの生き物からDNAを抽出することですが、まず生き物を解剖して一部の組織を取り出さないと行けない。最近の子供、特に女の子は虫嫌いが多く、今までの経験でも虫が触れない中学生がいました。今回の参加者には3人の中学生もおり、エビはともかく、クモ、ヤスデとセミは大丈夫かな?と心配していました。しかし、意外に皆さんは全く違和感がなく、それぞれの生き物をいじり始めました。

実際の実験内容はこれまでとほぼ同じだが、最初のDNA抽出の出発材料として、これまではすべて昆虫だったので、胸部筋肉を使用していましたが、今回はそれぞれの生き物によって違う部分を使いました。セミは胸部筋肉、エビも背中から筋肉を摘出、ヤスデは筋肉摘出が難しいので体の一部を丸ごと潰し、クモは卵を使用しました。今回の参加者の皆さんは特に優秀なためか、その後の実験:DNAの抽出、PCR法による目的DNA断片の増幅、増幅されたDNA断片の塩基配列の決定、塩基配列の比較などの作業も2日間の間でほぼ予定通り、完璧にこなしてくれました。昨年のように、オサムシからDNAを抽出したものの、実際に得られたDNA配列がバクテリアのものだったような、ハプニングもなく、順調に系統樹作成を完成し、発表会もこれまでと比べると恐らくもっとも落ち着いた発表だったと思います。

蘇 智慧(研究員)

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