サマースクール 2005年度の報告

DNAから共進化を探るラボのサマースクール
「DNAの塩基配列を比較して生きものの進化の歴史を探ってみませんか。」




今年のサマースクールは、数種類の身近な昆虫の核rRNA遺伝子の塩基配列を比較して、それらの系統関係を調べるのが目的でした。参加者は4名で、中学生2名、大学生1名と一般の方1名でした。調べた昆虫は、オオシオカラトンボ、アブラゼミ、マヤサンオサムシとセンチコガネ、4名の参加者に1種類ずつ担当してもらいました。これら4種類の昆虫の系統関係は、DNAを調べるまでもなく、誰でも容易に想像できると思いますが、実は今回のサマースクールの狙いもそこにあります。何故かと言いますと、系統樹を作成してみたら「なるほど、予想通りですね」と実感してもらって、DNAには本当に生物の進化の歴史が刻まれていることを体験してもらいたいのです。

実験手順には、昆虫の胸部筋肉の摘出、筋肉から全DNAの抽出、PCR法による目的DNA断片の増幅、増幅されたDNA断片の塩基配列の決定、塩基配列の比較と系統樹作成などの作業が含まれています。一日半の日程でこれほどの実験過程をこなすのは、プロの研究者にとってもかなりハードな作業で、経験のない参加者たちにとってはなおさらです。朝晩の時間を利用して取りあえず全過程を体験してもらうことができました。時間的には実験操作をこなすだけでも精一杯で、各実験の原理説明は実験の隙間や実験反応の間で行いました。できる限り分かりやすく説明したつもりで、完全に理解してもらえたかどうかが不安ですが、質問の内容からみると相当程度分かって頂いたと感じています。

一日目は虫から筋肉の摘出、DNAの抽出とPCR反応、これらの実験は成功しているかどうかの結果がすぐに出ないので皆さんはかなり不安でしたが、翌日の電気泳動の結果を見て、やっと安心するような顔になりました。因みに言いますと、PCR反応の実験で、参加者の1人は一つ“貴重”なミスをしてくれました。200μlのマイクロピペットを20μlのものに間違って、20μlの溶液を入れるはずのところに200μlを入れてしまいました。PCR機器にかける前に気づいてやり直しましたが、間違った反応チューブも同時にかけてみました。見事に!両方とも綺麗にDNA増幅が確認されました。このような実験は私たちは絶対にしないので、本当に貴重な結果です!

翌日の実験スケジュールは更に稠密で、午後3時半頃になってようやく系統樹ができました。しかし、4時には今回のサマースクールスタッフ全員と参加者全員の前に発表しなければなりません。実験まとめと発表準備(これらについてはスタッフは全くタッチしないことにしています)の時間は30分間もない、とても足りません!と私たちスタッフが相当心配していましたが、いざ発表の舞台に立ちますと、また見事でした!中学生の女の子がリーダ役を務め、他の三人が補足し、中学生らしいというか、子どもらしいというか、理解していない部分もありのままで伝わってくる可愛いらしい発表で、皆さんを喜ばせてくれました。短い一日半でしたが、私たちスタッフも大いに楽しませて頂きました。

蘇 智慧(研究員)

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