研究員レクチャー

JT生命誌研究館の研究員が月に1回づつ、現在おこなっている研究について話します。
【入場無料・予約不要】

研究員レクチャー2019年度

第5回

日時
2019年9月21日(土)14:00~
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルーム
タイトル
非モデル昆虫の神経行動学-「凄技」の秘密を知るために-
講師
宇賀神 篤研究員:(チョウが食草を見分けるしくみを探るラボ
内容
神経行動学とは、動物の行動が神経によってどのように制御されているのかを知ろうとする試みです。多様な環境へ進出・繁栄している昆虫は、ユニークな行動のバリエーションも多く、古今東西多くの神経行動学者を惹きつけてきました。今回のレクチャーでは、小さな虫の凄技と、その秘密を探ろうとする研究者の様々なアプローチをご紹介します。

(左上)ミツバチの高次中枢「キノコ体」
(右上)交尾中のナミアゲハと中枢神経系
(左下)ナミアゲハ前肢先端における遺伝子発現の様子
(右下)ナミアゲハ前胸神経節における遺伝子発現の様子

第4回

日時
2019年7月20日(土)14:00~15:30
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルーム
講師
岩崎 佐和研究員(研究員:ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ
西井夕紀子(現代音楽家)
タイトル
研究員レクチャー&ワークショップ
「形づくりの最初の一歩 ~クモの胚に魅せられて~」
内容

第一部:レクチャー「クモの形づくりの最初の一歩」岩崎 佐和
クモの卵ははじめまん丸で、色や形から将来の前後・背腹の方向を予想することはできません。でも、実は目には見えない「遺伝子の発現の偏り」があり、細胞はその偏りを認識して方向を決めているのかもしれない。そのような仮説を立て、ゲノムの情報を元に、クモの卵の中に生まれる分子の偏りを探りました。研究の結果、最初の軸づくりに関する遺伝子の発現の偏りを明らかにすることができたので、報告します。

第二部:ワークショップ「形づくりと偏りー研究・音楽・日常」西井夕紀子×岩崎佐和
日常に起こる音楽の発生過程を見つめてきた現代音楽家 西井夕紀子さんと会場のみなさんとで、レクチャーについての疑問や意見を交換します。一緒に考えたり、音楽を作ることに置き換えたりしながら、クモの胚の中で起こっていることの考察や体感を試みる時間です。

■音楽家プロフィール
西井夕紀子
作曲家。演劇やダンス、ドキュメンタリー映画への楽曲提供を行うかたわら、人が音楽を奏ではじめる瞬間・作りはじめる瞬間に魅力を感じ、文化施設、福祉施設などでワークショップを実施。ロックバンドFALSETTOSメンバー。東京芸術大学音楽学部音楽環境創造学科卒業、同大学院修了。
ウェブサイト https://www.yukikonishii.com/

第3回

日時
2019年4月20日(土)14:00~15:30
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルーム
講師
蘇 智慧研究員(DNAから進化を探るラボ)
タイトル
イチジクとイチジクコバチの種分化プロセスを考える
〜最新の研究成果を通して〜
内容

 イチジク属植物は亜熱帯・熱帯を中心に世界に約750種分布しています。日本はイチジク属の分布北限にあたり、南西諸島を中心に16種生育しています。唯一の送粉者であるイチジクコバチとの間に、絶対的相利共生関係が構築されています。その共生関係は種特異性が高く、「1種対1種」であると言われています。このような絶対的共生系にある生物は互いに影響を与えながら種分化を繰り返し、進化・多様化してきたと考えられます。しかし、具体的に互いにどのように影響し合うのか、種分化はどのように起こるのか、それについてはまだ不明なことが多いのです。今回は我々の研究成果から得られた新しい知見を通して、絶対共生系における種分化のプロセスとメカニズムを考えてみたいと思います。

研究に用いたイチジク植物とそのコバチおよび採集地

第2回

日時
2019年3月16日(土)14:00~15:30
場所
JT生命誌研究館
講師
尾崎 克久研究員(チョウが食草を見分けるしくみを探るラボ)
内容

 ナミアゲハの成虫は、春から秋にかけて数回発生する、最もよく見られる蝶の仲間です。幼虫はミカン科の植物だけを食べますが、餌を確保できたら身近な道具を使って簡単に育てることができます。生命誌研究館で飼育している蝶を使って、母蝶が正確に植物の種類を見分けて子孫を残す仕組みと、卵から成虫までの飼育方法を紹介します。

内容
ナミアゲハの成虫は、春から秋にかけて数回発生する、最もよく見られる蝶の仲間です。幼虫はミカン科の植物だけを食べますが、餌を確保できたら身近な道具を使って簡単に育てることができます。生命誌研究館で飼育している蝶を使って、母蝶が正確に植物の種類を見分けて子孫を残す仕組みと、卵から成虫までの飼育方法を紹介します。
プログラム
1 講義: 蝶が植物を正確に見分けるしくみ
2 体験:
    2-1 アゲハチョウの捕まえ方
    2-2 採卵の仕方
    2-3 幼虫の育て方
    2-4 蛹の取り扱い
    2-5 成虫を羽化させる
    2-6 ハンドペアリング(交尾)させる方法
    2-7 コラム: 休眠について
対象

興味のある方どなたでも
小学校の先生にオススメ

第1回

日時
2019年1月19日(土)13:30~
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
講師
橋本 主税研究員(カエルとイモリのかたち作りを探るラボ)
タイトル
ふたたび、カエルの形づくりとは?
内容

 脊椎動物の形づくりの過程において原腸形成運動は重要な位置を占める。特に両生類の原腸形成過程の研究は、形態学的には調べ尽くされたとも思えるくらいに歴史が古く、日本でも戦前の教科書からすでに現在と同様の説明がなされており、現在の世界中の教科書を見ても同様であろう。
 我々は15年以上前に、この世界的によく知られているモデルは少なくともアフリカツメガエルにおいて誤りである事を示し、また数年前にはイモリやサンショウウオを含むすべての両生類で我々のモデルが当てはまる事を明らかとした。さらに、このモデルを中心に据えると、これまではまったく異なる機構であると考えられてきた脊索動物の原腸形成運動が統一的に解釈できる事も明らかとなり、進化的にも高く保存された機構の存在が示される事となった。
私たちは、このモデルの公表とともに脊椎動物の原腸形成機構のモデルが描き換えられると期待していたのだが、歴史は長く、また対象とする生命現象が根源的すぎた為か、この新しいモデルは世間に認識されないまま現在にいたっている。このモデルはムービーや動画を用いて説明すれば小学生にも理解できるのだが、文章や図表だけでの説明では、過去のモデルの影響が多大すぎてか正確な理解がなされない傾向が強いように思える。
 今回のレクチャーでは、あらためて両生類の原腸形成を説明する新しいモデルについて、それが提出されるにいたった経緯や実験結果について丁寧に解説し、さまざまなご質問を頂戴しながらお越しいただいた皆さんとこのモデルの意義について話し合ってみたい。
 このモデルをすでにご存知の方は復習の意味でお越しいただければ嬉しいが、今回は特に高等学校の先生たちにお越しいただいて議論を深める事ができたら嬉しい。なお、この話題は、長い歴史があるため、そのあたりをご存知であればなお一層楽しめる事は間違いないが、予備知識は基本的には必要としない。また内容としても中高生で十分に理解可能だと感じるので、生きものの形づくりに興味のある方のご聴講は大歓迎する。

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