研究員レクチャー

JT生命誌研究館の研究員が月に1回づつ、現在おこなっている研究について話します。
【入場無料・予約不要】

研究員レクチャー2017年度

第5回

日時
2017年9月16日(土)14:00〜
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
講師
岩崎 佐和研究員(ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ)
タイトル
鋏角類のクモの体軸はどのように確立されるのか?その調節能力は?
内容
 節足動物や脊椎動物を含む左右相称動物は全て、発生初期に確立される体軸(前後軸・背腹軸)に沿って複雑な体のパターンを作っていきます。しかしながら、体軸を確立するための分子的なメカニズムは動物の進化の過程で多様に変化してきました。例えば、脊椎動物の両生類では母性因子と精子の侵入点が将来の体軸を決定し、鳥類では最初の対称性を破るのに重力が関係することが知られています。一方、節足動物では昆虫のショウジョウバエで母性因子による体軸形成プロセスが非常によく研究されています。
 私たちの研究室では、節足動物の中でも進化的に早い段階で昆虫の仲間と分岐した鋏角類のクモを用いて体軸形成の分子メカニズムを研究しています。クモでは古くから重複胚が知られており、発生がある程度まで進んだ胚でも体軸を調節する能力があることも研究の魅力の一つです。レクチャーでは、これまでの知見に加え、次世代シーケンサーを用いて探索した最新の研究結果や、実験で得られた前方重複胚についてご紹介します。

第4回

日時
2017年6月17日(土)14:00〜
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
講師
尾崎 克久研究員(チョウが食草を見分けるしくみを探るラボ)
タイトル
チョウと植物の関係を大量データから理解する
内容
 チョウの幼虫の食草は限られており、食草の変更が種分化に強く影響したと考えられています。しかし、食草選択がどのように行われているか、基盤となるしくみは十分に理解されているとは言えません。図鑑や論文には、チョウと食草の関係について多くの情報が蓄積されていますが、それらを全て読み込み記憶し、知識として活用するのは困難です。
そこで私たちは、日本のチョウについて文献情報をデータ化し、チョウと食草の関係と、植物化合物との関係を統計学的に解析しました。その結果、多くのチョウは基本的に特定の科の植物に依存していますが、ごく一部の種はエサとして毒性の低い植物を共有していることがわかりました。これは、チョウが食草を変える際に、一度「安全な」植物を利用し、その後に植物分類群としては大きく異なったとしても化合物レベルでは類似する植物へ移行した可能性を示しています。食性転換が起こるしくみを知る重要な手がかりです。
このようにコンピューターを外部の脳として使い、大量データから新たな知識を抽出する研究を紹介します。今春論文が出たばかりの旬の研究成果です。

ミカン科を食草とするナミアゲハ(下)とセリ科を食草とするキアゲハ(上)

第3回

日時
2017年4月15日(土)14:00〜
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
講師
蘇 智慧研究員(DNAから進化を探るラボ)
タイトル
種分化はどうやって起きるのだろうか?
〜イチジク属植物とイチジクコバチの研究を通して〜
内容
 地球上には数千万種の生物が生息していると言われています。生物の多様性をもたらしたのは進化と種分化です。種分化というは、新しい種が生じるプロセスであり、生殖的に隔離された新たな集団が形成されるとのことです。つまり、生物が種分化するには、その生物の集団間の生殖隔離が生じる必要があります。しかし、何が生殖隔離を引き起こすのでしょうか。それは種分化を理解するもっとも重要なポイントです。
イチジク属植物とイチジクコバチは絶対的共生関係を構築しているため、互いに繁殖が強く依存し合っています。その場合、両者の種分化は協調的に(共種分化)起きる必要があると考えられています。果たしてそうでしょうか。今回は我々の研究を通して種分化について考えてみたいと思います。

第2回

日時
2017年2月18日(土)14:00〜16:00
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
講師
尾崎 克久研究員(チョウが食草を見分けるしくみを探るラボ)
タイトル
アゲハチョウの飼い方を体験しよう(レクチャー+体験)
内容

ナミアゲハは春から秋に羽化するチョウです。このチョウは身近な道具を使って飼うことができます。母チョウが植物を正確に選び子孫を残すしくみをお話し、さらにラボで通年飼育している元気なチョウを用いて、卵から成虫までの飼育方法を紹介します。

第1回

日時
2017年1月21日(土)13:30〜
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
講師
橋本主税 研究員(カエルとイモリのかたち作りを探るラボ)
タイトル
進化の過程で脊椎動物はどのように現れたのか?
内容

脊椎動物は、その頭部を進化の過程で獲得したことによって「脊椎動物」となりました。脊椎動物の頭部構造は主に神経堤細胞と呼ばれる細胞によって形づくられることから、「脊椎動物がどのように現れたのか?」という問いは「進化の過程でいかにして神経堤細胞を獲得したのか?」と言い換えることもできそうです。
受精卵から始まる形づくりの過程で神経堤細胞が作られるときがあります。そのメカニズムの本質を知ることで進化において神経堤細胞がどのように作られたのかを想像することができます。また脊椎動物の形づくりの普遍的な組織運動を原索動物のそれと比較することで、脊椎動物が成立した意味に想いをはせることもできそうです。

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