研究員レクチャー
研究員レクチャー
JT生命誌研究館の研究員が月に1回づつ、現在おこなっている研究について話します。
【入場無料・予約不要】

研究員レクチャー2011年度
  第1回
 日  時 : 2011年4月16日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : JT生命誌研究館
 講  師 : 蘇 智慧 研究員
(DNAから進化を探るラボ)GO!
 タイトル : イチジク属植物の種分化における雑種形成の影響
 内  容 : イチジク属植物は熱帯地域を中心に約800種が分布しており、極めて多様性の高い植物属である。また、イチジク属植物は他の植物と違って、イチジクコバチにのみ送扮され、両者の間に「1種対1種」という厳密かつ種特異性の高い相利共生関係が築かれている。このような「1種対1種」共生関係が維持されながら、イチジク属植物はどうやって種分化し、多様化してきたのだろうか。最近の研究結果を紹介しながら、イチジク属植物多様化の要因を考えてみたい。
  第2回
 日  時 : 2011年6月18日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : JT生命誌研究館
 講  師 : 尾崎克久研究員
(チョウが食草を見分けるしくみを探るラボ)GO!
 タイトル : 味覚受容体遺伝子がむすぶ化合物と産卵行動
 内  容 : アゲハチョウの仲間は、幼虫が特定の植物しか食べないという性質がありますが、卵からふ化したばかりの幼虫はとても小さくて移動能力が低いので、自力で餌を探すことが困難です。そこで、母親であるメス成虫が植物の種類を正確に見分けて産卵場所として選択することが、次世代の生存を左右するとても重要な役割です。メス成虫は、産卵の直前に植物を前脚でたたく「ドラミング」と呼ばれる行動により植物種を識別しますが、識別の手がかりは植物に含まれている化合物の組み合わせです。前脚で働いている化合物の認識に関わる遺伝子群を見付けることができれば、昆虫と植物の関わり合いについてより深く理解することが出来るだろうと考えています。これまでの研究で見つかった、産卵刺激物質の受容に関わる遺伝子群の解析によって、昆虫と植物を結びつけている仕組みについて明らかに出来たことをお話しします。

人工葉を食草と間違えて産卵するナミアゲハ
  第3回
 日  時 : 2011年9月17日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : JT生命誌研究館 1Fカンファレンスルーム
 講  師 : 小田広樹研究員
(ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ)GO!
 タイトル : 「失う」ことで新しさが生み出された
細胞と細胞をつなぐ分子構造の多様化
 内  容 : 私たちの遠い昔の祖先は、細胞と細胞をつなぐ分子を作り出す事に成功し、多細胞からなる体をもつことができるようになりました。カドヘリンと呼ばれる細胞と細胞をつなぐ分子は、初期の多細胞動物にすでに存在し、現在に至るまで動物の体づくりに重要な役割を果たし続けて来た分子です。しかし、その普遍的な重要性にも関わらず、カドヘリン分子の構造は動物の系統によって異なる、大きな変化を受けてきました。興味深い事に、その変化には一定のルールがあります。それはもともとの構造の一部を失うことです。つまり、「失う」ことで多様な構造が生み出されてきたのです。細胞と細胞をつなげる分子構造が多様化することと動物の形態が多様化することと何か関係があったのでしょうか? 実験生物学として解くには難しい問題ですが、少し想像を膨らましていっしょに考えてみたいと思います。
  第4回
 日  時 : 2011年11月19日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : JT生命誌研究館 1Fカンファレンスルーム
 講  師 : 秋山-小田 康子研究員
(ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ)GO!
 タイトル : 「調節的な発生をつかさどる仕組みについて」
 内  容 : 脊椎動物の卵は、1つの卵からふたごが生まれるように、非常に調節的な発生をします。それに対して無脊椎動物では、卵のどの部分が何になるのか予め決まっている、モザイク的な発生をする例が知られています。実は、わたしたちの研究材料であるクモの卵は、無脊椎動物でありながらも調節的な発生をすることが古典的な実験発生学で示されていました。最近私たちは、遺伝子のはたらきを実験的に変えることで、胚が部分的に重複することを見つけました。
 今回のレクチャーでは、この分野の世界的な情勢とわたしたちの研究結果、そして、そこから見えてきた新たな考え方をお話します。
研究員レクチャー
オオヒメグモのふたご胚:自然発生的に生じたもの
  第5回
 日  時 : 2011年12月17日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : JT生命誌研究館 1Fカンファレンスルーム
 講  師 : 龍田勝輔研究員
(チョウが食草を見分けるしくみを探るラボ)GO!
 タイトル : 「電気生理学的アプローチによるナミアゲハ産卵メカニズムの解明」
 内  容 : ナミアゲハはミカン科植物の葉を食べる狭食性昆虫です。ですから、寄主植物(食べる植物)を正確に選ぶ必要があります。寄主植物の選択は雌親の産卵時に行われており、ミカン科植物の葉に含まれる10種類の化合物が必要であると言われています。雌親は直接ミカン葉を足でさわってこれらの化合物を感じることで、寄主植物を選んでいます。おもしろいことに、10種類の産卵刺激物質は単一の化合物では産卵を誘導せず、複数の化合物が混ざり合って初めて産卵を誘導することが産卵実験によって明らかになっていました。しかし、なぜ複数の化合物が必要なのか?また、雌親はその複数の化合物をどのように認識しているのか?といった謎についてはわかっていませんでした。
 本研究では電気生理学という手法を用いて、アゲハが産卵に必要なミカン葉成分を受容しているかを調べ、先の疑問に対する答えを探してきました。今回のレクチャーでは今までの実験結果と、結果から導き出された答えについて紹介します。
研究員レクチャー
ナミアゲハの産卵行動
研究員レクチャー
  第6回
 日  時 : 2012年1月21日(土)14:00〜
 場  所 : JT生命誌研究館 1Fカンファレンスルーム
 講  師 : 橋本主税研究員
(カエルとイモリのかたち作りを探るラボ) GO!
 タイトル : 再び「かたち」を考える
 内  容 : 遺伝子は、それ自体が意味を持つものではなく、他の遺伝子などさまざまな因子との関係性において意味が確立する。したがって、進化的に高く保存され同一の機能を持つ遺伝子であっても、それが働く組織が異なれば、あるいは生物種が異なれば、生きものに及ぼす働きは異なる。このように、構造(かたち)とは構成要素同士の関係性によって成立すると考えられ、したがってゲノム自体を構造(かたち)と考えることは当然の帰結である。形とは一般に固い、輪郭のきっちりとしてものだという認識があることから、ゲノムとは「形なきかたち」と言っても良いだろう。このように、生きものを考える場合には、関係性の考え方は極めて重要であるといえる。

 今回のレクチャーでは、この「要素同士の関係性」すなわち「かたち」について、身近なさまざまな事柄を例にとってその意味について考え直してみたい。 <入場は無料、予約不要>
研究員レクチャー
  第7回
 日  時 : 2012年2月18日(土) 14:00〜
 場  所 : JT生命誌研究館 1Fカンファレンスルーム
 講  師 : 岡本朋子研究員
(DNAから進化を探るラボ) GO!
 タイトル : イチジクとイチジクコバチの共生関係を結ぶ花の匂いの役割
 内  容 : 私たちが普段目にする“花”は、美しい色とりどりの花弁を備えています。自ら動き回って繁殖相手を見つけることができない植物は、このような花という広告を使って、自由に動き回る動物たちを誘い寄せ、花粉の運搬を託しています。しかしながら、25万種以上もある被子植物が全て派手な花を咲かせるわけではありません。では地味な花をつける植物は、どのようにして雄しべから雌しべへ花粉の受け渡しを行っているのでしょうか?

 イチジクは無花果とも書き、花を咲かせないまま果実になるように見えることからそのような字が当てられています。しかし、食べごろからほど遠い未熟なイチジクの“果実”を割ってみると、中に無数の小さな花が咲いていることがわかります。つまり、未熟な果実に見えるものは、花をたくさん抱え込んだ袋状の花序なのです。では、このように外から見えない隠れた花は、どのようにして他の花へと花粉を運んでいるのでしょうか?本レクチャーでは、イチジクの唯一の花粉媒介者であるイチジクコバチが花粉を運ぶ巧妙な仕組みを紹介し、花粉媒介の際に重要な役割を担う花の匂いに注目して議論していきます。
<入場は無料、予約不要>

アカメイヌビワの花のう(開花中)

アカメイヌビワの送粉者
アカメイヌビワコバチ

アカメイヌビワの花のうの断面。
内側についているのは開花中の雌花。

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