研究員レクチャー
研究員レクチャー
JT生命誌研究館の研究員が月に1回づつ、現在おこなっている研究について話します。
【入場無料・予約不要】

研究員レクチャー2009年度
  第1回
 日  時 : 2009年4月18日(土)14:00〜15:30
 場  所 : JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
 講  師 : 小田広樹 研究員
(ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ)GO!
 タイトル : クモが脊椎動物に似てるって、本当?
 内  容 :  私たちはオオヒメグモ(Achaearanea tepidariorum)と呼ばれる種類のクモを使って細胞の仕組みや体の形作りの仕組みを研究しています。「なぜクモを使っているのですか?」と聞かれてこれまで困ることも多かったのですが、最近は、「意外に、クモは脊椎動物に似てるんですよ。」と答えることが増えてきました。もちろん、体の形とかは大きく違いますが、分子のレベルでいろいろな仕組みを調べてみると、研究によく使われているキイロショウジョウバエと脊椎動物の間ではかなり違うのに、クモと脊椎動物の間では非常によく似ているようなケースが見つかって来ています。本レクチャーでは、最新技術を用いた私たちの研究で明らかになりつつある、クモと脊椎動物の意外な類似性についてお話しします。

  第2回
 日  時 : 2009年6月13日(土)14:00〜15:30
 場  所 : JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
 講  師 : 蘇 智慧 研究員
(DNAから共進化を探るラボ)GO!
 タイトル : 節足動物の進化を考える
 内  容 :  節足動物は鋏角類(クモなど)、多足類(ムカデ・ヤスデなど)、甲殻類(エビ・カニなど)と六脚類 (広義の昆虫類) を含み、種数において最大な動物門である。近年の分子系統解析により、節足動物門の系統進化に関する理解は大きく変わった。従来、多足類(ムカデ類)から進化してきたと考えられていた六脚類は、実は甲殻類に近縁であることが明らかになった。しかし、六脚類がどの甲殻類の系統から進化してきたのかは、まだ不明である。また、鋏角類と多足類との系統関係も非常に混沌しており、鋏角類のウミグモが節足動物の中で、全く独立した系統であるとの報告もある。最近の研究結果を紹介しながら、これらの問題を考えてみたい。

節足動物門の系統進化の概略図
  第3回
 日  時 : 2009年7月18日(土)14:00〜15:30
 場  所 : JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
 講  師 : 尾崎克久 研究員
(昆虫と植物の共進化ラボ)GO!
 タイトル : 昆虫と植物を結ぶ絆は何か 〜食草選択のしくみを探る〜
 内  容 :  アゲハチョウの仲間は、幼虫が特定の植物しか食べないという性質が有るので、母親であるメス成虫が植物の種類を正確に見分けて産卵場所として選択することが次世代の生存を左右します。メス成虫は、産卵の直前に植物を前脚でたたく「ドラミング」と呼ばれる行動により植物種を識別しますが、識別の手がかりは植物に含まれている化合物の組み合わせです。前脚で働いている化合物の受容に関わる遺伝子群を見付けることができれば、昆虫と植物の関わり合いについてより深く理解することが出来るだろうと考えています。これまでの研究で見つかった、産卵刺激物質の受容に関わる遺伝子群の解析によって昆虫と植物を結びつけている仕組みについて明らかに出来たことをお話しします。

産卵するナミアゲハ
産卵するナミアゲハ。
  第4回
 日  時 : 2009年9月12日(土)14:00〜15:30
 場  所 : JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
 講  師 : 秋山-小田康子 研究員
(ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ)GO!
 タイトル : 動物のかたち作りの違いを考える
 内  容 :  いろいろな動物のゲノム情報の解析から明らかとなってきたことは、ほとんどの多細胞動物が同じような遺伝子セットを持っているということです。では、なぜ同じようなセットをつかって異なるかたちの動物がつくられるのでしょうか?
 最近の進化発生学的研究は、遺伝子のはたらき方の違いや、違いを作りだすメカニズムなど、生物の「違い」を理解することを目指して進められています。今回のレクチャーでは、この分野の動向と私たちのオオヒメグモを用いた発生研究の進展状況をお話します。

クモの重複胚
クモの重複胚:
ショウジョウバエとのメカニズムの違いを示唆している
  第5回
 日  時 : 2009年10月17日(土)14:00〜15:30
 場  所 : JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
 講  師 : 吉田昭広 研究員
(チョウのハネの形づくりラボ)GO!
 タイトル : 生きているチョウのハネ
 内  容 :  チョウのハネは胴体の筋肉のはたらきによって動かされ、空気の流れを起こしてチョウ自身を飛行させます。しかしウチワのように受動的に動かされるだけの、単なる「死んだ」器官ではありません。チョウのハネは生きている部分と死んだ部分とで構成され、それらがうまく調和し、生きている体の一部としての役割を立派に果たしています。チョウのハネが「生きている」ことを、いろんな側面から紹介していきたいと思います。

  第6回
 日  時 : 2009年12月12日(土)14:00〜15:30
 場  所 : JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
 講  師 : 橋本主税 研究員
(脳の形はどうやってできるのかラボ)GO!
 タイトル : カエルとイモリのかたち作りの仕組みとは
 内  容 :  まんまるの卵が細胞分裂を繰り返しますが、発生の非常に早い時に「頭尾の軸」や「背腹の軸」が決まる瞬間があります。この時期は、細胞が「民族大移動」を行なって今後のかたち作りの基本体勢を決定する需要なときで、これらを総称して「原腸形成過程」と呼ばれています。この仕組みは基本的には魚から人までを通して脊椎動物では共通であると考えられています。原腸形成過程が無ければ、私たちは頭も無ければ足も無く、背中も無ければお腹も無いただの無秩序に集まった細胞の塊でしょう。今回のレクチャーでは、歴史的に最も古くから研究が行われている両生類の原腸形成過程を見つめ直す事で、脊椎動物全体に潜在する本質のようなものについて考えてみたい。
お話自体は両生類のことですが、ここから夢は大きく進化についても議論が進めば良いかなと思っています。

  第7回
 日  時 : 2010年1月16日(土)14:00〜15:30
 場  所 : JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
 講  師 : 楠見淳子 研究員
(DNAから進化を探るラボ)GO!
 タイトル : 植物の種分化
〜 ゲノムの倍数化、雑種形成が新たな種の誕生につながる 〜
 内  容 :  ゲノムの倍数化というと何か特殊なことのように感じられるかもしれませんが、植物では自然界で非常に多くみられる現象です。ゲノムの倍数化により、3組以上のゲノムのセット(染色体組)をもつ個体である倍数体が生じます。身近なものでは、タンポポ、ノギク、ヒガンバナなどが知られており、コムギ、ジャガイモ、アブラナといった日常的に私たちが食している野菜、果物、穀物の中にも倍数体は多くみられます。植物の倍数体は、人為的に作成することが容易なため、育種にも多用されているのです。また、雑種形成も自然界で頻繁に生じており、品種改良の技術として利用されています。倍数化や雑種形成により、新しい組合せのゲノムのセットをもつ個体が作りだされると、その中に親株とは異なる新しい形質を持った個体が誕生するわけです。新しい形質をもった個体が即座に種として確立するわけではないのですが、植物ではこのようなプロセスを経て種分化している例が多いようです。最近では、分子生物学の進展とともに、倍数化、雑種形成を介した種分化に関する分子レベルでの研究が次々と報告されています。
 本レクチャーでは、最近の研究例を紹介するとともに、私達が研究しているイチジク属植物での例をお話しします。

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