研究員レクチャー
研究員レクチャー
JT生命誌研究館の研究員が月に1回づつ、現在おこなっている研究について話します。
【入場無料・予約不要】
研究員レクチャー2005年度
  第1回
 日  時 : 2005年4月23日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 蘇 智慧 研究員
(DNAから共進化を探るラボ)GO!
 タイトル : 「昆虫の起源について」
 内  容 :
節足動物の大まかな系統関係を示している。無翅昆虫類の系統的位置は有翅昆虫類に近いのか、あるいは甲殻類よりも前に分岐したのかを、これから我々が解明していきたい。
クリックすると拡大図が見られます。
 昆虫類Insecta(六脚類Hexapoda)は分類学的に無翅昆虫亜綱と有翅昆虫亜綱に大きく分けられている。また無翅昆虫亜綱はさらに4目、有翅昆虫亜綱は26目に分類されている。従来の昆虫類の進化系統関係に関しては、基本的に有翅昆虫類は無翅昆虫から生じ、翅を発達させて進化してきたと考えられている。しかし、近年の分子系統解析の結果、昆虫類を含む節足動物門の系統関係は大きく変貌している。
 従来、六脚類は多足類(ムカデなど)から分岐して進化してきたと考えられていたが、様々な分子を用いて節足動物門の系統関係を再構築したところ、多足類は鋏角類(クモなど)に、六脚類は甲殻類(エビなど)にそれぞれ近縁であることが分かった。このことは、六脚類が多足類に由来したのではなく、甲殻類に起源したものであることを示唆した。
 一方、六脚類の系統進化については、最近ミトコンドリア遺伝子に基づく幾つかの研究があるが、従来の考え方を支持したり、逆に六脚類の多系統性(無翅昆虫類と有翅昆虫類が単一起源でない)を示唆したりして、結論が出ていない。
 今回の研究員レクチャーでは、昆虫類の起源に関する研究の現状についてお話しします。
  第2回
 日  時 : 2005年6月18日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 尾崎克久 研究員
(昆虫と植物の共進化ラボ)GO!
 タイトル : 「チョウと食草の共進化のメカニズム」
 内  容 :
 アゲハチョウの仲間は、幼虫が特定の植物しか食べないので、母親であるメス成虫がどの植物を産卵場所として選択するかが次世代の生存を左右します。メス成虫が植物種を識別する仕組みに変化が生じた場合、餌として利用する植物(食草)が変わり、住み分けによってそれまでとは異なる種類のチョウへと変化していったと考えられます。メス成虫は、前脚の先端部にある化学感覚毛を用いて、植物に含まれている化合物を認識し、その種類を手がかりに植物種を識別するので、産卵行動を刺激する化合物を受容する仕組がアゲハチョウたちの生存にも進化にも大きな影響を持っていると考えられます。化合物の受容に関わる遺伝子群を見付けることができれば、食草の変更を原動力とする進化の仕組を解明する手がかりになるのではないかと考えて、遺伝子を探索しました。これまでの研究で見つかった、産卵行動刺激物質受容システムに関与する遺伝子群についてお話しします。
  第3回
 日  時 : 2005年7月16日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 小田広樹 研究員
(ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ)GO!
 タイトル : 「ハエとクモの形づくり
 〜 同じ節足動物だけどこんなにも違う 〜
 内  容 :
オオヒメグモのDelta遺伝子は後体部の形成に必要である。
 ハエとクモは同じ節足動物ですが、ハエは昆虫類、クモは鋏角類に分類されています。一体、何が違うのでしょうか? 違いを違いとして明確に認識するには、何が同じなのかということも同時に知っておく必要があります。私たちは、動物の形が違うとはどういうことなのか、細胞/遺伝子/分子のレベルで解き明かそうとしています。
 最近、RNA干渉法という特異的に遺伝子機能を低下させる方法が開発されたことで、私たちの研究分野に大きな革命がもたらされました。この方法は、私たちが実験材料として使っているオオヒメグモに対しても適用できます。私たちはこの手法を活用して、遺伝学的知見の蓄積したショウジョウバエと、同じ節足動物門であるが系統の離れているオオヒメグモを比較し、発生システムの共通点と相違点を洗い出しています。講演では、私たちの最新の実験データを紹介するとともに、オオヒメグモの美しいダイナミックな胚発生を堪能していただけるようにしたいと考えています。
  第4回
 日  時 : 2005年9月17日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 中山忠宣 研究員
(昆虫と植物の共進化ラボ)GO!
 タイトル : チョウ類と食草の関係
 内  容 :
食草の上で優雅に(?)休憩中のシロオビアゲハ成虫(上)と幼虫(下)
 鱗翅目昆虫の99%以上は植物を食べる植食性に分類されます。さらに全体の80%以上の種が限られた範囲の植物しか利用できない狭食性あるいは単食性と呼ばれるグループに分類されます。チョウ類も大部分は植食性であり、そのほとんどが狭食性、単食性に分類されます。みなさんもご存知のとおり、モンシロチョウはアブラナ科、ナミアゲハはミカン科の植物しか食べないという、とても身近に見られる現象です。この身近な現象も突き詰めてい くととても不思議な、そして面白い現象であることがわかります。今回のレクチャーでは、チョウと食草の関係に関するこれまでの研究を紹介しながら、それらの研究をとおして我々が普段気が付くことのできないチョウと食草のやりとりについてお話したいと思います。
  第5回
 日  時 : 2005年11月19日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 佐々木剛 研究員
(DNAから共進化を探るラボ)GO!
 タイトル : 翅が無くても昆虫?
 内  容 :  昆虫は陸上に適応して非常に多様な種を生み出したグループです。多くの種が翅を持ち空を飛び、翅を退化させたものや水中に進出したものもいます。わたしたちはこのように多様な昆虫の起源を探るために、昆虫の親戚である他の節 足動物との関係を明らかにしようとしています。

 節足動物にはクモ・カブトガニなどの鋏角類、ムカデ・ヤスデなどの多足類、エビ、ミジンコなどの甲殻類と、六脚類(昆虫)の4グループあります。昆虫の起源に関しては、
(1) 六脚類は他のどのグループと近縁なのか。
(2) 六脚類はひとつの祖先から多様化したグループなのか。
という2つの大きな問題があります。(1)の点に関しては、最近の分子データによる解析から、六脚類は甲殻類と近縁であることが明らかになってきました。(2)の問題を言い替えると、無翅昆虫は有翅昆虫と共通の祖先をもつのか、「昆虫」と呼んでもよいのかどうか、ということになります。まだはっきりし た答えは出ていませんが、現在研究を行っています。

 今回のレクチャーでは、分子データ(DNAの塩基配列)に基づいて系統樹(過 去に起きた進化)を推定する方法と、昆虫の起源の解明に向けて現時点のデータから分かることを交えて、お話ししたいと思います。
翅のない虫たち。全てを昆虫と呼んでよいのでしょうか?
  第6回
 日  時 : 2005年12月17日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 吉田昭広 研究員
(チョウのハネの形づくりラボ)GO!
 タイトル : チョウの生物学
 内  容 :
ホソオチョウ
 チョウのハネはその紋様の多様さや美しさのため、古くから多くの研究者や愛好家の興味を引き続けてきました。しかし、チョウのハネは紋様の問題だけでなく、ほかにも多くの生物学上の問題を提起しています。今回はその一端として、チョウのハネにおける「細胞の様々なふるまい」についてお話ししたいと思います。
  第7回
 日  時 : 2005年1月21日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 橋本主税 研究員
(脳の形はどうやってできるのかラボ)GO!
 タイトル : ゲノムとは何か?
 内  容 :  昨年に引き続いて『「かたち」の哲学』の第二弾をお届けいたします。

今回は「ゲノム」について考えましょう。近年、ゲノムやDNAなどの言葉はもはや専門用語ではなくなっています。しかし、ではDNAとは何か?ゲノムとは何か?と問いかけられた時にそれを明確に答えられるでしょうか?

昨年は『「かたち」の「意味」』を考えてみました。今年は『「ゲノム」の「意味」』を一緒に考えてみましょう。もちろん、昨年と同様に一方向的なレクチャーではなく、全員で意見を述べ合い考える時間にしたいと思っています。『「ゲノム」と呼ばれるモノの本質は何か?』、考えることに興味のある方のご参加をお待ち致します。

ゲノムって何だろう?

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