研究員レクチャー
研究員レクチャー
JT生命誌研究館の研究員が月に1回づつ、現在おこなっている研究について話します。
【入場無料・予約不要】
研究員レクチャー2004年度
  第1回
 日  時 : 2004年4月17日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 蘇 智慧 研究員
(DNAから共進化を探るラボ)GO!
 タイトル : 「日本産イチジクとイチジクコバチの起源を探る」
 内  容 : 熱帯地域を中心に約750種のイチジクが地球上に分布している。日本には僅か16種しか生息していない。琉球列島の島々から採集したイチジクとイチジクコバチを分析したところ、島間の違いはほとんど見られなかった。イチジクが日本列島に侵入してきたのは新しい年代だろうか。中国産のイチジクとイチジクコバチを解析して、その答えを探ってみた。

コバチがイチジクの花嚢(かのう)に入るのはこんなに難しい!多くのものは入り口で命を落としている。
  第2回
 日  時 : 2004年6月19日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 秋山-小田 康子 研究員
(ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ)GO!
 タイトル : 「クモの卵からなにが分かるか?」
 内  容 :
クモ胚の腹側正中線上における遺伝子発現。体の真ん中を決めるメカニズムも動物ごとに違いが見られる。
これまでの発生生物学やゲノムの研究から、さまざまな形をした多細胞動物のからだは同じような遺伝子セットをもとにつくられることが明らかにされてきました。その中でも詳細な解析が行われてきた節足動物のショウジョウバエと、ヒトを含む脊椎動物に関しては、発生現象に多くの類似点が見つけられています。しかしその類似点は、進化の過程で保存されてきたものなのか、それとも2次的に似たものなのか、現在でも研究者の間で議論を呼んでいます。今回のレクチャーでは、ショウジョウバエと脊椎動物の知見を結び付けることを目指して私達が研究しているクモの発生について、この分野の動向とともにお話します。
  第3回
 日  時 : 2004年7月17日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 尾崎 克久 研究員
(昆虫と植物の共進化ラボ)GO!
 タイトル : 「味覚レセプター(GPCR)で探るチョウと食草の共進化」
 内  容 :
シロオビアゲハと食草(サルカケミカン)
アゲハチョウの仲間は、餌として利用する植物の変更を繰り返して、現在の多様な種類に進化したと考えられます。幼虫が特定の植物しか食べないので、母親である雌成虫がどの植物を産卵場所として選択するかが次世代の生存を左右します。雌成虫は、植物に含まれている化学物質を手がかりに植物種を認識するので、化学物質受容のしくみがアゲハチョウたちの生存にも進化にも大きな影響を持っていると考えられます。化学物質受容体(レセプター)の遺伝子を見付けることができれば、食草の変更による進化のしくみを解明する手がかりになるのではないかと考えて、未知の遺伝子を探索しました。これまでの研究で見つかったレセプター遺伝子についてお話しします。
  第4回
 日  時 : 2004年9月18日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 中山 忠宣 研究員
(昆虫と植物の共進化ラボ)GO!
 タイトル : 「アゲハチョウ類の食草進化と植物成分の関係」
 内  容 :
産卵刺激物質を塗った人工葉に産卵するシロオビアゲハ
アゲハチョウ類は長い歴史の中で食草の変更を繰り返し現在の食草にいたったと考えられています。しかし、アゲハチョウ類は必ずしも系統的に近い植物へと食草転換を行ったわけではないようです。アゲハチョウ類は前肢の先(フ節)に存在する味覚受容器で植物中に含まれる成分を見分け、その植物が適当かどうかを判断します。この産卵を誘導する物質が数種のアゲハチョウ類において報告されており、それらの物質を比較していくとその構造に類似性が認められます。従って、このような植物成分の類似性がアゲハチョウ類の植物分類を超えた食草進化に関係していると考えられています。今回のレクチャーではアゲハチョウ類の食草進化と植物成分の関係についての概略をお話します。
  第5回
 日  時 : 2004年11月13日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 小田 広樹 研究員
(ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ)GO!
 タイトル : 「遺伝学が解き明かす動物の形づくりの仕組み」
 内  容 :
ショウジョウバエ
生物の研究において、遺伝学は中心となる柱です。とりわけ、ショウジョウバエを使った遺伝学は1980年から2000年にかけて大きな成功をおさめ、動物の形づくりを制御する様々な仕組みを細胞/遺伝子/分子のレベルで明らかにしました。分かってきた仕組みの多くはハエだけでなく、私たち脊椎動物においても働いており、形づくりの共通性が大きくクローズアップされました。今回のレクチャーでは、ショウジョウバエの遺伝学研究がどのように発展してきたかを紹介し、私たちの研究室で行っているクモを使った研究との関係に触れたいと思います。
  第6回
 日  時 : 2004年12月11日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 吉田 昭広 研究員
(チョウのハネの形づくりラボ)GO!
 タイトル : 「チョウのハネに見る、生きものの形づくりのしくみ」
 内  容 :
ミヤマカラスアゲハ
ミヤマカラスアゲハのハネの鱗粉
 私たちの体は、どのような細胞が、どのように配置さ れるかによって(基本的な)形が決まります。細胞の配置がどのようなしくみで決まるのかは、生きものの形づくりのしくみの基本です。
 チョウの体に付着する鱗粉は、それぞれが1個の細胞です。「鱗粉細胞」は、ハネ表面ではある特定のパターンに配置されています。今回は、この細胞配置がどのようなしくみで形成されるかについてお話しし、生きものの形づくりのしくみの基本について考えたいと思います。
  第7回
 日  時 : 2005年1月15日(土) 14:00〜15:30
 場  所 : 1Fコンファレンスルームにて
 講  師 : 橋本 主税 研究員
(脳の形はどうやってできるのかラボ)GO!
 タイトル : 「『かたち』の哲学」
 内  容 :
クエン酸回路
クリックすると拡大図が見られます。
 私たちの研究室では、生きものの「かたち」がどのように出来上がってくるのかについて調べています。カエルの卵はまん丸ですが、細胞分裂を繰り返し、細胞が「民族大移動」を行ないながら頭ができ尻尾ができるわけです。丸い卵のどこに頭を作りどこに尻尾を作るのか?それがどのようなメカニズムで出来上がるのか?このようなことが不思議で毎日研究を行なっているわけです。
 しかし、ふと「かたち」という言葉について考え始めると、「かたち」って何?って事に考えが至ります。普通に使う「かたち」という言葉も、よく考えてみるとその意味はよく分からなくなりました。そこで、生きものの「かたち」を考える前に「かたち」の「意味」を考えてみようと思います。
 一方向的なレクチャーではなく、全員で意見を述べ合い考える時間にしたいと思っています。「かたち」ある「かたち」、「かたち」無き「かたち」など、考えることに興味のある方のご参加をお待ち致します。

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