研究員レクチャー

JT生命誌研究館の研究員が月に1回づつ、現在おこなっている研究について話します。
進行形の研究、そこで考えたこと、苦労話など研究を身近に感じる絶好の場です。
レクチャーの後には、質疑応答の時間をゆっくり取っていますので、研究をより深く知りたい方におすすめです。入場は無料、予約不要。質問歓迎です。お気軽にご参加ください。

次回の研究員レクチャー

日時
2018年12月15日(土)14:00〜
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
講師
小田 広樹研究員(ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ)
タイトル
クモ胚の縞模様から進化の原理を探る
内容

 すべての節足動物(昆虫やクモ、ムカデなど)のからだは、頭からお尻まで、似たような構造が繰り返されています。この反復性の構造は、節足動物の進化の過程で堅固に保存されてきた特徴です。その反復パターンは卵の中で作られ、遺伝子が表す縞模様として観察することができます(写真右)。その縞模様が、からだを作る細胞のシートにどのように現れるのか、縞模様を生み出すダイナミクスとその多様性を解説します。
 私たちは世界に先駆けてオオヒメグモをモデル生物として開発してきました。昆虫で得られた知識に頼らずクモと向き合うことで、節足動物の新しい常識を築いています。反復性の構造は、私たち脊椎動物にも背骨や指骨に見られます。節足動物と脊椎動物をつなぐヒントがクモの研究にあることをお話しします。

日時
2019年1月19日(土)13:30~
場所
JT生命誌研究館 1階カンファレンスルームにて
講師
橋本 主税研究員(カエルとイモリのかたち作りを探るラボ)
タイトル
ふたたび、カエルの形づくりとは?
内容

 脊椎動物の形づくりの過程において原腸形成運動は重要な位置を占める。特に両生類の原腸形成過程の研究は、形態学的には調べ尽くされたとも思えるくらいに歴史が古く、日本でも戦前の教科書からすでに現在と同様の説明がなされており、現在の世界中の教科書を見ても同様であろう。
 我々は15年以上前に、この世界的によく知られているモデルは少なくともアフリカツメガエルにおいて誤りである事を示し、また数年前にはイモリやサンショウウオを含むすべての両生類で我々のモデルが当てはまる事を明らかとした。さらに、このモデルを中心に据えると、これまではまったく異なる機構であると考えられてきた脊索動物の原腸形成運動が統一的に解釈できる事も明らかとなり、進化的にも高く保存された機構の存在が示される事となった。
私たちは、このモデルの公表とともに脊椎動物の原腸形成機構のモデルが描き換えられると期待していたのだが、歴史は長く、また対象とする生命現象が根源的すぎた為か、この新しいモデルは世間に認識されないまま現在にいたっている。このモデルはムービーや動画を用いて説明すれば小学生にも理解できるのだが、文章や図表だけでの説明では、過去のモデルの影響が多大すぎてか正確な理解がなされない傾向が強いように思える。
 今回のレクチャーでは、あらためて両生類の原腸形成を説明する新しいモデルについて、それが提出されるにいたった経緯や実験結果について丁寧に解説し、さまざまなご質問を頂戴しながらお越しいただいた皆さんとこのモデルの意義について話し合ってみたい。
 このモデルをすでにご存知の方は復習の意味でお越しいただければ嬉しいが、今回は特に高等学校の先生たちにお越しいただいて議論を深める事ができたら嬉しい。なお、この話題は、長い歴史があるため、そのあたりをご存知であればなお一層楽しめる事は間違いないが、予備知識は基本的には必要としない。また内容としても中高生で十分に理解可能だと感じるので、生きものの形づくりに興味のある方のご聴講は大歓迎する。

2018年研究員レクチャー予定

01月20日(土) 13:30〜 「生物学を哲学する」(終了
橋本 主税研究員(カエルとイモリのかたち作りを探るラボ
03月17日(土) 14:00〜 レクチャー&ミニコンサート
「知を生むこと、音楽を生むこと ~ クモの発生を見つめて ~」(終了)
講師 西井 夕紀子 (音楽家/作曲家)
   岩崎 佐和(研究員:ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ
04月21日(土) 14:00〜 蘇 智慧研究員(DNAから進化を探るラボ)(終了)
07月21日(土) 14:00〜 宇賀神 篤研究員(チョウが食草を見分けるしくみを探るラボ)(終了)
10月20日(土) 14:00〜 有本 晃一研究員(DNAから進化を探るラボ)(終了
12月15日(土) 14:00〜 「クモ胚の縞模様から進化の原理を探る」
小田 広樹研究員(ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ

これまでの研究員レクチャー

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