ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。月二回、スタッフが交替で更新しています。

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イチジクとオオコウモリと鳥類

2018年6月1日

有本 晃一

研究室ではこれまでイチジク属植物とイチジクコバチ科昆虫の相利共生関係を遺伝情報を用いて調べてきました。ただ、イチジクを利用する動物は昆虫以外にも多く知られています。代表的なものが、オオコウモリです。オオコウモリは果実食のかわったコウモリで、様々な植物の果実を食べますが、特にアコウやガジュマルといったイチジクの仲間を好む傾向にあるようです。そのため、イチジクの種子散布者として重要な存在であると考えられています。また、種子散布者として鳥類や陸生哺乳類の存在も大きいことが熱帯林での調査でわかっています。

しかし、日本ではイチジクの種子散布者は綿密には調べられておらず、オオコウモリがイチジクを好む以外は不明な点が多い状況です。種子散布者としての鳥類が重要なことは自明の事実ですが、研究として論文に記されている情報は限定的なのです。ネットで検索すれば様々な鳥種がイチジクを訪れている写真を見つけることができる状況なので、イチジクの研究に携わる者としては複雑な心境です。

そこで、この春から、定点カメラを用いてイチジクの果実を食べにきている鳥類の調査を初めてみることにしました。苦労を承知での挑戦でしたが、カメラを設置してすぐに多くの鳥が映り込んでおり、良い意味で予想を裏切ってくれました。これからも撮影を続け、いずれイチジクと関連のある鳥類の情報をまとめ、論文として出版することが今の野望です。これまでずっと昆虫の研究を続けてきましたが、昆虫以外の動物を観察することも面白くはまってしまいそうです。なにより、オオコウモリや鳥は愛くるしくて、観察していて癒されます。


ガジュマルにぶらさがるダイトウオオコウモリ(北大東島)

アコウにとまるアオバト(奄美大島)

[ DNAから進化を探るラボ 有本 晃一 ]

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