ラボ日記
ラボ日記
研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【協力に感謝】
 
尾崎克久
 当ラボの研究開始当初は、ナミアゲハが産卵刺激物質について最も詳細な情報があったので、食草の認識に関わる遺伝子を探索する実験で、メインの研究材料になっています。しかし、ナミアゲハは若干気難しいところがあって、実験材料として最も好適であるとは言い切れません。幼虫の飼育も、アゲハチョウの仲間の中ではやや難易度が高めですし、産卵活性を高めるのも少し難しいので、行動の実験はやり難いというのが本音です。夏場であれば、生命誌研究館の周辺でも容易に採集できるというのは大きなメリットではありますが、今後の研究ではシロオビアゲハをメインに切り替えていきたいと考えています。

 ナミアゲハと違って簡単には採集できないのに、なぜシロオビアゲハに魅力を感じているかというと、現在は産卵刺激物質について十分な情報がありますし、遺伝子の探索に関してもナミアゲハと遜色ない状態に近づいていますし、何よりも産卵実験が行いやすくて、産卵刺激物質の組み合わせもシンプルなんです。
・飼いやすい
・行動の観察が容易
・実験系がシンプル
という三大特徴は、研究材料として大変優れていると言えます。
 様々なイベントで、プラスチック製の偽物の葉っぱに細工をして、アゲハチョウを騙して卵を産ませるという実験を行ってきましたが、ナミアゲハはなかなか思いどおりになってくれないのに対して、シロオビアゲハはこれまでほとんど失敗がなく、僕の心の中ではスーパースターなんです。

 生命誌研究館の周辺で気軽に採集することが出来ないシロオビアゲハは、最初に研究材料として使い始めるときに伊丹市昆虫館から譲渡して頂きました。今冬以降、産卵行動に関してデータを蓄積して、来春から本格的に産卵行動と受容体遺伝子を結びつける実験に取り組んでいけたらいいなと思っていたので、少しシロオビアゲハの飼育数を増やしたいなと考えていたところへ、伊丹市昆虫館のチョウ担当者の方から「シロオビアゲハをさしあげますよ」という連絡をいただいて、内心踊りだしたい気分で譲り受けに行ってきました。身近にこのような協力が得られる昆虫館があって心強いというのも、シロオビアゲハの魅力の一つかもしれません。



[昆虫と植物の共進化ラボ 尾崎克久]
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