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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【プレゼンに喋りとインパクトを】

阿草耕介
 研究職も一般の会社員も関係なく必要になってくる能力、それが「プレゼンテーション(以下プレゼン)」です。
 ビジネスの現場では、他社への営業活動や社内報告会など様々なプレゼンが必要ですが、我々研究者にとっても、自分たちの研究がどのような状況であるか、今後の方針と将来的な発展性も含めてプレゼンすることで様々な方に自分たちの研究結果を伝えます。
 最近自分も研究成果の報告会以外に一般の方々に対してのレクチャーで喋らせてもらう機会が増えつつあるのですが、これがやはりまだまだうまくいきません。誰かの研究ではなく、自分がこれまでやってきた研究をまとめて喋るだけなのだからわからない点なんて無いはずなのに(つまり自信はあるはずなのに)、どうしても未だに途中で詰まったり、噛んでしまってうまく喋ることができません。
 そしてうまく喋ることができないと、聞き手の方を見る余裕も生まれず、ついつい伏し目がちになる、もしくはスライドの方ばかりを見てしまい、結果ただスライド上のテキストを読んでいるだけのつまらないプレゼンになってしまいます。こうなるとさらに聞き手の方も喋り手の方を見てはくれず、スライドのテキストや図表を見るだけになってしまい、それも飽きてくると転寝を始めてしまうことに…。結局その責任は全て聞き手の意識をこちら側に向けることができていない自分にあるわけです。
 以前、外国資本のソフトウェアのイベントに行ってみたのですが、そのプレゼン中での彼らの堂々とした態度、合間に見せるウィットなジョーク、シンプルでインパクトのあるスライド、ちょうど飽きの来ないタイミングで話が終わるタイミング。全てが完璧で紹介される商品も際立って良く見えました。そのときは、もうこれは買うしかないだろう!という気持ちになってしまってしまいました(その後落ち着いてよくよく考えてみると特に必要なかったりします)。それくらい彼らのプレゼンに魅せられていました。
 慣れ、というのもあるかと思いますが、その慣れは何回も繰り返される練習によってもたらされたと聞きます。その結果、彼らのプレゼン自体が一つのショーであるかのような満足感を聞き手に感じさせることができるのだろうと思います。
 このシチュエーションでは、ある程度興味がある方々が前知識があって集まっている分、プレゼン自体はそう難しいものではないかもしれません。でも彼らはとことん練習します。一方自分はどうでしょうか。館内でのレクチャーくらいだと、2回程通しで喋ってみて(場合によっては喋らずに頭で言葉をなぞるだけで終わることもあります)そのまま本番に挑みます。一般の方々に自分の研究の前知識などあるはずも無く、とにかく理解しやすいように内容を説明する義務があるのにも関わらず、そこまで練習していない自分がいました。
 ですので、これからは反省してよりいっそう気を引き締めて、スティーブ・ジョブズ(*)的に言うならばプレゼンの主役をスライドではなく自分に向けることを重視して、とにかく練習を繰り返し繰り返し行ない、内容は完璧に把握かつ、図表説明以外にはスライドを極力見ずにまっすぐ聞き手の方々の方を向いて喋ることにします。
 まずは「難しいことはなんかわからんけど、面白いな」と聞き手の方々を飽きさせないプレゼンを心がけることから始めようと思います。

*スティーブ・ジョブズ・・・MacやiPodで有名なApple社のCEO(最高経営責任者)。新しい商品が発表される際の彼のプレゼン能力は群を抜いている。




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