ラボ日記
研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【お昼のさんぽ】
 
中山忠宣

 雨の日も多くなってきていよいよ梅雨本番と思う季節になりましたが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。今回は私の日課についてお話したいと思います。
 私は雨の降らない日は可能な限り毎日、お昼時間に外へ散歩に出かけています。主な行き先は近くの芥川です。弁当を片手に出かけ、川辺で風景を楽しみながら食事をし、辺りを探索して帰ってきます。川辺では私以外にもサラリーマン(と思われる)の方や、お子さんをつれたお母さんなども食事をされていて、リラックスした空間ができあがっています。
 もともとお昼にでかけるようになったきっかけは、チョウの餌とりでした。チョウといっても実験材料に使うチョウではなく、個人的に飼育していたチョウで、その辺の雑草をほんの少し取りに行くだけでした。ところが、何回かその周辺を歩いているうちに、このような街中でも意外と多くの自然を目の当たりにできることに気が付きました。例えば、鳥が魚を捕らえるシーンや、ヒラタクワガタが目の前に突然現れたり(このクワガタは現在我が家で飼育中です)、いろいろなチョウの吸蜜行動や産卵行動や給水行動など上げていくときりがありません。ここは様々な観察ができて面白い場所だと思い、毎日のように通うようになりました。そうして毎日通っていると昨年度は春と秋にそれぞれ1回ずつですがアサギマダラを見ることもできました。ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、このアサギマダラは夏を迎える前に北上をし、冬を迎える前に南下するいわゆる「渡り」をするチョウとして有名です。昨年度は幸運にも北上するチョウと南下するチョウ、それぞれに一回ずつですが出会えたわけです。これは毎日通ったからこそ出会えた昨年度の幸運な出来事だったと思っています。
 このような野外で本物を観るということは、とても大事なことの一つだと私は考えています。私は、チョウの研究をやっている関係でチョウに関連する書物は普通の方よりは少し多めに読んでいると思います。そして、それらに書かれている現象が目の前で繰り広げられた時、それはその書物に書かれている以上の知識となり記憶されると感じます。さらに、自分の知識にはない現象に気がついた時、感動すら覚えます。身近な私たちの周りにもまだまだ多くの不思議が存在しています。そして、その中にはまだ誰も気が付いていない大発見が隠れているかもしれません。たった一つの鉢植えの植物を毎日観るだけでも、きっと数え切れない発見があることでしょう。みなさんも宝探し気分で何かを観つづけてみませんか?きっと毎日が楽しくなると思いますよ。


[昆虫と植物の共進化ラボ 研究員 中山忠宣]
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