ラボ日記
研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。
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【スポーツ選手のような研究者】
 
小田広樹

 野球選手やサッカー選手の移籍の話が新聞やニュースで報道されています。また、アテネオリンピックを控え、マラソンなど様々な種目で代表選考会が行われています。スポーツの世界は一見華やかに見えますが、当然のことながらそれぞれの選手は厳しい競争の中に置かれているはずです。競技スポーツは、いくら美しいフォームで競技をしたとしても勝たなければ実質的な見返りはなく、結果がすべてといっても過言ではないでしょう。
 研究も似ている(?)。いくら知識が豊富で頭が良く、話が上手でも、人に影響力を与えるような新しい発見(または発明)をしなければ研究者としての評価は上がりません。先日、青色発光ダイオードの発明者、中村修二・米カリフォルニア大学教授が元勤務先の会社に対して起こした訴訟の判決が出ましたが、その判決では発明の対価が604億円と算定されたました。ひとつの発明が及ぼした、経済への影響力の大きさには驚かされます。裁判所は会社に対して、中村氏に200億円を支払うように命じました。プロ野球選手も較べものにならない金額です。
 発明がすぐに製品化され、お金に換算されうる研究はわかりやすいのかもしれませんが、科学の世界には直接的にはお金にならない重要な発見もたくさんあります。普遍性の高い、優れた理論や技術は研究者の間に広まり、影響力を発揮します。場合によっては、長い年月をかけないと理解されず、時を越えて影響力を及ぼす発見もあります。
 私は時々、自分自身が研究者としてどれほどの影響力を生み出しているのだろうかと思うことがあります。しかし、私ができることはスポーツ選手と同じように、成功を信じて厳しい「鍛練」を重ねることなのかもしれません。



[ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ 研究員 小田広樹]

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