ラボ日記

研究セクターのメンバーが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。月二回、メンバーが交替で更新しています。

2018年5月15日

雌雄モザイク

宇賀神 篤

有性生殖を行う生物にとって、「オス・メスどちらとして振舞うか」は大変重要です。研究に使用しているナミアゲハの場合、野外でオスはスピーディーに、対してメスはフワフワと飛んでいる様子が観察できます。もちろん、ミカンの葉を前肢で熱心に叩いてから産卵するのはメスだけです。

昆虫では、稀に同一個体内に雌雄両性の特徴が混在する「雌雄モザイク(ジナンドロモルフ)現象」が生じます。これは、私たち哺乳類と異なり、昆虫の性が細胞ごとに独立して決まるためです。クワガタムシや雌雄で色合いが大きく異なるような種類のチョウの場合、見栄えも良いので、雌雄モザイク個体の写真を目にする機会も比較的多いように思います。それらに比べるとだいぶ地味な昆虫ですが、以前の勤務先で学生さんと行ったクロマルハナバチというハチの雌雄モザイクに関する研究が、二ヶ月ほど前に小さな論文として世に出ました。体の右上半身がメスで残りはオスとしての特徴を持つこの個体、メスに対して猛然と接近するものの交尾直前でやめてしまう、という様子が複数回観察されました。なぜ彼(?)は「なんとなく煮え切らない態度を示す」のではなく「途中でキッパリやめた」のでしょうか?ご興味のある方は、こちらで当該論文をご覧いただければ幸いです。

さて、ナミアゲハですが、よく見ると雌雄で色合いが異なります。しかし、残念ながら今のところ飼育中に雌雄モザイクが出現したことはないようです。ミカンの葉を差し出したらどのように反応するのか、一度試してみたいものです。


クロマルハナバチ

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