ラボ日記

研究セクターのメンバーが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。月二回、メンバーが交替で更新しています。

2017年9月15日

昆虫採集は難しい

有本 晃一

4月に着任したと思ったら、もう9月。生命誌研究館勤務も6ヶ月目に突入しています。光陰矢の如し、です。この半年間、いったい何をしていたのかと振り返れば、「虫採り」と答えざるを得ません。

日本産イチジクコバチは15種の送粉コバチと25 種の非送粉コバチ(イチジクで産卵だけして花粉を運ばない種)を含みます。当ラボには既に大半の種のサンプルがそろっていますが、そこはフィールドワーカーの端くれとして、自身の手で採ってみたいと思うところです。4月の八重山諸島に始まり、大東諸島、沖縄本島、高槻市周辺、四国南西部とあちこちに調査へ赴き、イチジクとコバチを採りまくりました。結果として、送粉コバチは13種を採集することができました。小笠原諸島には訪れていないので、小笠原に固有の2種は採っていません。つまり、小笠原以外の日本で採れる送粉コバチは全種採集したことになります。もうこれは一端のイチジクコバチ研究者と名乗ってもよいのではないでしょうか!

問題は非送粉コバチです。残念ながら一夏で25種全てを集めることはできませんでした。一筋縄ではいきません。さらに、これまでに報告されている25種のいずれにも該当しない種も発見されました。日本のコバチ相を正確に理解するためには、全くの未知種が見つからなくなるまで調査を継続していかなければなりません。まだまだ険しい道のりが続いていることを予感させる結果となりました。

当ラボでの野外調査で新鮮に感じたことは、同種の複数個体を様々な地点から採る必要があるということでした。当ラボは分子系統だけでなく集団遺伝も扱っているため、1地点で1匹採れれば満足とはいかず、様々な地点で複数個体得る必要があります。サンプルのバリエーションが豊富であればあるだけ良質なコレクションとなるわけですが、その点に関しては今年はなかなか苦戦を強いられました。調査時期をイチジクのフェノロジーやコバチの発生時期と合わせることは難しく、現地に行っても虫がいない、採りようがない状況が幾度かありました。季節性をどう予測するのか、今後の課題です。

「モノ」が無ければどうしようもない。ナマの生き物を扱う難しさを改めて噛み締めた半年間となりました。

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