ラボ日記

研究セクターのメンバーが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。月二回、メンバーが交替で更新しています。

2019年11月1日

過ぎたるは・・・

有本 晃一

春にやってきた新しいメンバーの南條さんが実験をしているのを見て、自分の院生時代の出来事がいろいろと思い出されます。昨日から野田さんとウエスタンブロットをしており、ブロットしたマーカーを翌日まで取っておくという話をしていたのですが、そういえば私は同期メンバーのノザンブロットのマーカーを間違えてオートクレーブ(高圧滅菌)してしまったな、とか、自分が初めてノザンをした時はハイブリした途端、高熱が出たな、とか、そういえば、その時に、ショウジョウバエ胚を集めようと卵を産ませていた牛乳瓶10本分の親バエを(もちろんその一部だけど)逃してしまい、怒られたな、とか、芋蔓式にいろいろ湧き出てきました。(南條さんがたくさん失敗している、ということは全くありませんので。念の為。)まあ、当時は実験用のキットもあまり発達していなくて、RNAを抽出するのも一苦労でしたし、ハイブリも放射性同位体ラベルしたプローブを使っていて、今より随分大変だったのですが。ただ、長年、実験をしてきて思うのは、マーカーをオートクレーブしたり、ハエを逃したりするのは問題外ですが、若いうちにたくさん実験して、たくさん失敗したことが今に生きているかなと。実験がうまくいかない時に挽回するための引き出しが少し多めにあるというか、そんな感じです。

さて、オオヒメグモの認知度は日本では相変わらずなのですが、海外からは生き物を紹介する論文や、蛍光in situ (FISH)のプロトコールの論文の執筆依頼が来ており、ちょっと喜ばしい感じです。FISHは5年以上前にかなり時間をかけて条件検討をして、4つの遺伝子の発現を単一のオオヒメグモ胚で染色する実験条件を見つけました。いくつか鍵となるポイントがありましたが、その1つは、4種類目のラベルをどう入れるか、ということでした。4種類目のラベルは、ラベリングキットとして販売されている他の3種類とは違って、化合物としてしか手に入らず、しかもキットと同じ条件で反応させるとプローブをうまく合成できませんでした。で、どうする、と小田さんとも相談。至ったのはラベルの濃度を減らしてみる、ということです。実験がうまくいかないと何か足りなかったのではと、酵素や基質をどんどん増やしてしまうことが多いです。君は一体こんなドロドロの濃い液でどうするのだい、みたいに。でも、実は減らすとうまくいくことが結構あります。この4種類目のラベルもそうでした。減らしてうまくいき、染色もきれいなシグナルが得られました。PCRがうまくいかなかった時に、プライマーを減らしたらうまく増幅された経験が生きました。(増やしてうまくいったこともありますが。)

私自身もまだまだ新しい実験にチャレンジしていきたいですし、学生さんたちも、成功でも失敗でも、どんどん良い経験をして欲しいなと思っています。

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