中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子がその時思うことを書き込みます。月二回のペースで、1995年5月から更新を続けています。

2019年6月3日

生命誌の面白いところ

中村桂子

空海の本を読みながら動いているこのところの行動を思い起こすと、何やってるのと思われそうですが、それが全部つながっているのが「生命誌」なのだとしみじみ思っています。ちょっと書いてみますね。

東北大学の工学部の学生さんと若手の先生のための「トップリーダー特別講義」です。私は紛れ込みですが、さまざまな分野の方による「持続可能な社会、豊かな成熟社会をつくり、日本が世界から尊敬される国になるための人材育成」だそうです。「一番大事と思うことをやる ─ 生命誌研究館の25年 ─」を伝えました。キョロキョロせずに自分で考え大事な事を探し、実行して欲しいと願います。学生さんとのやりとりを楽しみました。

両国にあるシアターXで行なわれる「第14回 シアターX国際舞台芸術祭2020」のテーマを「蟲愛づる姫君と生命誌」にするので、メンバーに話をするようにとのことでダンス・演劇の方々との話し合いです。どうなることかわかりませんが、これから一年皆さんの創作にも関わってと言われ、また暗中模索の始まりです。

その帰り道、「科学と人間生活」という高校理科の教科書作りの相談です。よく改訂のあること。この教科書の最初の見開きに『「世の中に?と!があればほかに何もいらない」詩人まど・みちおの100歳の言葉です。何もいらないとまではいえなくとも「?」(ふしぎに思い問いを立てること)と「!」(驚いたり、すばらしいと感激すること)が私たちの人生を豊かにすることは確かです。科学は、考えることで「?」と「!」をつなぎます。豊かな人生にするために問いを立て、考え、驚きを手にしましょう。「?」の対象は、自然と生活の中にあります。日常なにげなく見ている太陽も動物も植物もふしぎいっぱい。食物や衣服だって考える内容をたくさん持っています。一つ一つをていねいに見て考えていくと、あらゆるものが関わり合っていることが見え、新しい「!」を手にできます。この教科書は、その「!」への道を示しています。』と書きました。物理・化学・生物・地学の全部をまとめた教科書ですので、ここでも「生命誌」を生かしたいと思っています。

昨日はBRHにさまざまな企業の中堅・トップの方のグループが来て下さいました。

明日は原美術館で崔さんの「The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project」(ここでも何度も紹介しました。評判がよく、よかったです)についての家庭画報の取材です。その後、「農場協会」という農業高校を応援する会の評議員会に出席します。

いずれも社会へのサービスで余技としてやっているのではなく、生命誌を広く、深くしていきたいと思うとどれも大切なのです。無関係のものがないのが、生命誌の面白いところです。

みなさんからのご意見生命誌の広場より

絵巻の中の人々と私

投稿日:2019.06.14 / ニックネーム:j・h

先日、京都国立博物館で開催された一遍聖絵の展覧会に行ってきました。庶民の日常の暮らしも描かれ、社会的弱者とみられる人々やあらゆる身分の人々一人ひとりの豊かな表情も楽しいのですが、絵巻には珍しくところどころに登場する野良犬やカラス、オナガドリ、白鳥や猿など見ていて飽きません。他の絵巻物にはない多くの生きものや、多様な人々の営みに対する視線に何か生命誌に通じるものがあるように感じます。建物、樹々や山々など時代の空気まで伝わってきて絵本好きの私にはたまらない空間でした。この絵巻を見て、800年前鎌倉時代の人々も今生きている私につながっているのねと、とても身近に感じられました。

語り合いの続きは「生命誌の広場」へ

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