中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子がその時思うことを書き込みます。月二回のペースで、1995年5月から更新を続けています。

2018年1月9日

お仲間がふえることを願いながら始まる年

中村桂子

新しい年になりました。元日生れですので、年が変わると自分も一段登る・・・もしかしたら一段降りるのかしら・・・という感覚があり、何か決心しなければと思うのです。

今年は、「生命誌研究館」をできるだけ大勢の方に知っていただき、できることなら来ていただくことを考える・・・実はこれまで本格的に考えて来なかったことなのですが、今やらなければならないのはそのような状況をつくることかなと思い始めています。今頃かよと言われそうですが。

今年は開館から25年目です。小さなグループですがよい仲間に恵まれ、何よりもJTを始めとする本当に大勢の方の支援(あらゆる意味での)をいただきながらユニークで意味のある存在として具体が見えてきていると思っています。最初は、機械論の中で生きものを捉え、産業・経済に役立つことを最重要とする「生命科学」に対しての「生命誌」という気持で始めたことであり、学問として新しいものを求めました。25年ででき上るというものではありませんが、生きもの研究の大きな流れの中で、一つの形をつくることはできてきたと思っています。これからもこの活動は続けます。

ここで考えたいのは、もう少し広がりのある姿です。社会が「人間は生きものであり自然の一部である」というあたりまえのことをすっかり忘れた政治家、企業経営者、官僚によって動かされていることが心配になってきました。私の仲間である普通に暮らす人たちがよく考えて行動しないととんでもない社会になりそう(すでになっているのかも)な気がしてしかたがありません。科学なんて関係ないと思わずに生命誌を知っていただくと、今の社会はちょっとおかしいということ、今何をすることが大事かということが少し見えてくるのではないかと思うのです。そこでこの建物に足を運んで下さる方が一人でも多くなりますようにと願うわけです。生きているってどういうことだろうと考える空間になっていると思っていますし、事実そう言って下さる方がたくさんいらっしゃるので。

高槻は気軽にちょっと行ってみようかと思わせる所ではなさそうなので、まずホームページへのお誘いからが順当でしょうか。内容はさまざまで、盛りだくさんですが、時々あれこれご覧下さって感想をお寄せ下さると嬉しいです。

そしてこの〈ちょっと一言〉も、身近な方にのぞいてごらんとお勧めいただけますでしょうか。少しづつ広げていきたいと思います。そして一言いただきたいとも思っています。

突如今年はお仲間を増やしたいという気持になり、たくさんお願いを書きました。あやしい雰囲気があちこちにあると感じ、これを次の世代に渡したくないと思う気持からのことです。私にできることは生命誌しかない。そう思っての年始の思いです。

今年もよろしくお願いいたします。

みなさんからのご意見生命誌の広場より

水俣病展から

投稿日:2018.01.15 / ニックネーム:やっちゃん

1カ月ほど前(もう去年のことですが)熊本市で開催されていた水俣病展へ行ってきました。言葉だけで知っていた水俣病について、丸ごとおさらいしました。衝撃を受けたのは、工場で製造されたものが便利な日用品として生活の隅々にまで使われていたことです。私もその端で繋がっていました。石牟礼道子さんの『苦海浄土 三部作』を読み終えて、さらに考えてしまいます。取返しもつかないことを引き起こしてしまったら、繰り返さないことに徹するしかありませんね。フォーラムで中村先生のお話が聞けなかったのが残念でした。

語り合いの続きは「生命誌の広場」へ

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