館長中村桂子からのご挨拶:2010年
ごあいさつ:2010年
「ようこそBRHへ」
 「生命誌研究館」という六文字にこめた思いは、今年も変りません。それは、地球上での生命誕生から38億年という長い歴史があってこそ私たちはここに存在しているのであることを忘れないことです。そして、その間に生れてきた仲間たちとの関わり合いを楽しむという生きものとしての生き方を大切にすることです。このように基本は変らない中で、少し変ってきたことがあります。
 これまでは、このような考え方をするのは限られた人かもしれないけれど、その中で語り合い、研究をし、表現をしていく場を作っていこうという気持で活動してきました。基本を大切にすることが重要であり、輪を広げることに重きを置くと基本が失なわれる危険があるからです。その中でやっと、“輪を広げる努力” がよい効果を出す時が来たという実感が持てるようになりました。これまで経済にだけ価値を置き、競争をあおり、格差社会を作ってきた米国や英国から、このような社会はいわゆる “勝者” にとっても決して幸せをもたらすものではないという考えが送られてくるようになってきました。自然の大きさを感じ、謙虚な気持にならなければいけないというのです。少し世の中が変ってきました。もっと早く気がついて欲しかったと思いますが、気付いたところからは仲間です。自然や生命を基本に置く社会つくりへ向けて生命誌を生かして欲しいと思い、お手伝いできることはしていきたいと思います。
 今年新しく生れた展示は「生きもの上陸大作戦」です。生命の歴史の中で、水中から陸上へ生活の場を移すという変化はとても大きなものだったろうと思い、そこに眼を向けてみました。というより、生きものたちが上陸しようという決心をした時の気持になってみよう、そうすると生きるための工夫があれこれ見えてくるだろうと思ったのです。まさにその通りでした。植物の乾燥に耐えるための工夫、昆虫の空中へと飛躍する翅づくり、脊椎動物のアゴや脚ができていく過程を追うと生きものの面白さに圧倒されます。あれこれ理屈を言うより、生きものの気持になってその面白さを楽しむのが基本です。是非来館なさってこの感覚を味わって下さい。ホームページへの参加もよろしくお願いします。今年はこれまで以上に開くことに努めたいと思いますので、是非御意見をお聞かせ下さい。

(2010年4月30日 JT生命誌研究館館長 中村桂子)
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