館長中村桂子からのご挨拶:2005年
ごあいさつ:2005年
「ようこそBRHへ」
 「高槻ってどこ?」今もまだ聞かれます。JR京都線の京都と大阪の真中で、どちらからも15分足らず。BRHはその駅から歩いて10分足らずの便利なところです。
 玄関を入ると正面にあるDNA二重らせんを模した階段を使った「生命誌の階段」も少しづつ充実してきました。一段が一億年。壁に描かれた各時代の生物を見ながら4階まで登るとき感じる疲れが、38億年という生命の歴史の長さを実感させてくれます。是非いらして下さい。
 なぜ東京でないの?これもまた聞かれることです。「生きものの面白さを知り、生きているとはなにかを考え、生命を大切にする社会づくりにつなげる場」としての研究館活動は、「経済と科学技術万能」に対して、多くの人が抱いているこれでよいのかなという疑問を共有しています。それをじっくり考えて発信するのは、東京以外の方がよいような気がします。東京にあれば、もっと活動しやすいだろうと思うこともしばしばですが。
 年間テーマを動詞にすることにしてから3年。動詞にしたのは静ではなく動、そして行動することを考えたからです。最初は「愛づる」。本質を見つめた時に生れる愛は生命誌の基本です。昨年は「語る」。実験研究と表現研究を二重らせんのように組み合わせて行く活動の中で、大量のデータを生命現象の理解につなげ、そこから新しい自然観、生命観を創りあげるには、「語る」という作業が必要であることを痛感しました。そして今年は「観る」。日常の中でもう一度自然や生きものを「観る」、新しい技術で見えるようになってきた細胞や分子の世界を「観る」、更には自分を見つめる(内観)など、観るという切り口で考えます。もちろん「愛づる」「語る」が終わったわけではありません。どちらにも「観る」が不可欠です。
 12年という年月の経過が、それなりの存在感につながってきたことを実感しています。38億年に比べて短い短い年月ですが、一年一年積み上げるしかないと考えて、今年の展開を考えます。研究者仲間からの評価はさまざまな共同研究につながっていますし、美術や音楽などの分野からのお誘いも増えました。教育への参加、地域からの要望など、小さな組織ですので、何でもというわけにはいきませんが、質の高い活動を求め、深さと共に広がりを大事にして行こうと思います。その一つとして、今年は医学部の1年生を意識した「生命誌講議」をまとめます。季刊「生命誌カード」の最後に入れて、多くの方に楽しみにしていただいているポップアップを、「生命誌コ−ギ」にしました。医学生に生命について考えて欲しいという気持ちから始めたものですが、多くの方に一緒に考えていただきたいと思い、先端医療と生物学という固いテーマの表現に取り組みました。御感想、御意見をいただけたら幸いです。
 今年も、時に悩み、時に新しいことに挑み、あれこれ考え・・・楽しく活動を進めていきますので応援をお願いいたします。ホームページの書き込みや実際に来ていただけることなど、どれも励みになります。よろしくお願いいたします。
(2005年5月1日 JT生命誌研究館館長 中村桂子)
Greetings
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