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BRH WORKS

みんなでつくる 「生命誌かるた」
12月の絵札公開中!

皆よりたくさんのご応募をいただきました「生命誌かるた」を月ごとに公開していきます。
生きものを見つめ、考え、学べるような絵札をぜひご覧くださいませ。
  • 詠み人:きの かいと

    【春の訪れ】

    春は、寒くて暗い冬が終わり、生きものが動き出す季節。暖かく十分なエサがあることが条件だが、越冬する昆虫などの変温動物は、環境温度や昼間の長さをカウントし、ある一定以上になることで春の訪れを知ると言われている。

    永田

    きれいな風景を詠みました。「春の泡」がいいですね。泡の上って来る「水底の泥」のなかには、生き物の気配が感じられます。

  • 詠み人:nicori

    【突然変異】

    遺伝子の突然変異には、生存に有利なもの、有利でも不利でもないもの、ちょっと不利なもの、不利なもの、と有利性の濃淡がある。そして、必ずしも有利なものだけが受け継がれるわけではない。進化の出発点が突然変異にあるとすれば、その可能性は、有利なもの以外も残しておく、大らかな仕組みの中にあるのだ。

    中村

    どんな可能性があるのか。わからないところが面白いですね。

  • 詠み人:久兵衛

    【食べること】

    ある研究によると、世界中のクモの生物量は2500万トンで、年間捕食量は4-8億トン。これに対して、人間の生物量は3億トンで、年間に食べる肉・魚類は4億トン。重量あたりクモはヒトの10倍以上を余裕で食べる計算になる。食べることは生きること、なのだ。クモに限らず生きものを飼育してみると、このことが良くわかる。

    永田

    「えさ」は歴史的仮名遣いでは「ゑさ」。生き物の観察では、観察の前にまず飼育が大切な仕事になります。「ゑさやり」という地味な仕事は、実は生物クラブでのもっとも基本の大切な仕事なのです。

  • 詠み人:トラジロウ

    【人類史】

    現生人類は約20万年前にアフリカのどこかで誕生し、その後世界中に広まったーーとする単一起源説が有力だったのは、もう過去の話なのかもしれない。分析方法の進歩により、新発見が続いている。誕生は約30万年前?場所はボツワナ北部?ネアンデルタール人と交雑していた?議論を重ねながら、人類史は上書きされていく。

    中村

    地球上の78億人がすべてアフリカから出発した仲間であり、地球上には現在ヒトは一種しかいないという事実を世界中の首長に伝えたいです。戦争などやめましょうと。

  • 詠み人:久兵衛

    【バラ科の果物】

    りんご、あんず、さくらんぼ、なし、びわ、かりん等もバラ科の仲間。食用や薬用としての歴史が長く、現代の私たちにとって身近なものも多い。りんごは人類が食べた最も古い果物のひとつで、約4000年前には栽培されていたことが知られている。日本では、野いちご、もも、なしは少なくとも弥生時代から利用されていたというが、どんな色、香り、味だったのだろう?

    永田

    全く別の種類と思っていた生物が、実は同じ仲間であったことを知るときほど、進化の不思議な時間を感じるときはないのかもしれません。バラ科は特に華やかですね。アメンボやセミが、実は「カメムシ目」に属する遠縁だって知ってました?

  • 詠み人:ミネサンタ

    【生命誌】

    生命誌を知ることで、「人」は「ヒト」でもあることに気づく。例えば、食卓を囲む家族の一員としてのあなたも、有機物を自然から取り入れる従属栄養生物としてのあなたも、同じ存在なのだ。自然を壊すことは、食卓を壊すこと。もちろん、その逆も。

    中村

    そうですか。みんなではまって生きものらしく生きていきましょう。

  • 詠み人:
    字余りペテルギウス

    【意味のないバトン】

    2010年3月、樹齢約1000年とも伝わる鎌倉の鶴岡八幡宮にある大銀杏が倒れた。次の1ヶ月間に、残された根から出た「孫生え」は100本を数え、再生を願う記帳は3万人を超えたという。いのちのバトンを受けとり懸命に生きる小さな木の側には、声援を送るたくさんの人たちがいるのだ。

    村田

    “Spring has come.” 「ひこばえ」は、自然と人工の関わりを象徴するものですね。これからも数えきれない春の訪れとともに、いのちのバトンが受け渡されていくことを願います。

  • 詠み人:ミッキー

    【阿吽】

    仏教と共に日本に伝えられた梵語の最初の文字「a(ア)」と最後の文字「hum(フーン)」を漢字に音写したのが「阿吽」。阿は万物の「始まり」を、吽は「終わり」を象徴すると言われる。神社仏閣では、口を開いた阿形と閉じた吽形が鎮座する。仁王や狛犬はお馴染みだが、ウサギやイノシシ、ネコやネズミ、カエル、沖縄にはシーサーまでいる。

    村田

    「ん」で句を読むというのは、なるほどこういうことかと感心しました。