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今号テーマ

めぐる中で生きる

地球をめぐる旅を続け、現場からの報告を送り続けてきた石さんの「循環しか将来を生きる道はない」という言葉は重みがあります。地球環境問題という文字を見ない日はないのに、地球全体がつながっているという実感をもちながら暮らす人はなかなかふえません。生物が有限の場である地球で40億年近く続いてこられたのは、「めぐる」を基本にしてきたからであり、人間は生きものという感覚に基づく社会づくりの提案を続けなければならないと改めて感じました。リサーチで示された、土壌微生物と土壌動物が地上と地下の間で物質をめぐらせるしくみはみごとで、人間が農業で壊す土を作り直し続けてくれるありがたさがわかります。ミミズはダーウィンも高く評価したのを思い出します。BRHをめぐる研究は、昆虫進化です。オサムシに始まり、現在は昆虫全体の進化を系統解析で追う蘇研究室。発生の比較から進化を追う町田さんの研究は、まさに生命誌を描き出すみごとな成果で、今後も協力をお願いし、面白い結果を出して行きたいと思います。サイエンティスト・ライブラリーは、「考える人」という印象の強い坂野仁さん。一流の免疫学者であることを捨てて神経科学にとび込み、嗅覚で独自の成果をあげた今、また何を考えているのか。常に動いているのが魅力です。(中村桂子)

TALK

地球をめぐる風と水と生きもの

石 弘之東京農業大学教授
中村桂子JT生命誌研究館館長

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SCIENTIST LIBRARY

坂野 仁東京大学大学院教授

常に問いを立て続けて
—免疫・嗅覚・そして次は

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CARD

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2009年年間テーマ

めぐる

愛づる、語る、観る、関わる、生る、続く…と続けてきた動詞で考える。今年は「めぐる」です。回る、廻る、巡る。地球全体で水や炭素などの物質がめぐる、体内を血液がめぐる、季節がめぐる…自然界はさまざまなところでの「めぐる」から成っています。有限な地球で、生きものたちが38億年続いてきたのも、一つの生命体が滅び、また新しい生命体が生まれるというように「めぐる」をくり返してきたからです。さまざまな研究室をめぐって興味深い研究を探し出すのも楽しみです。

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2025/1/18(土)

『肉食動物の時間』