季刊「生命誌」57〜60号の内容を1冊の本にまとめました。
はじめに
今年のテーマは「続く」です。生命誌研究館で取り組み、さまざまな方と考えたこの切り口での活動をまとめた年刊号です。生きもの研究は本当に多様で、一つひとつを見ていると、形にも生き方にも特徴が見えて楽しいものです。一つの細胞である卵からそれぞれの生きものに特有の姿、形ができ上がっていく発生過程には、カエルにはカエル、クモにはクモ、決して同じではない独自性があります。あなたは何故そうするのと聞きたくなるほどですが、どの生きものにも共通するのは「続く」です。
「生きものは続こうとしている。」これは目的論的であり、擬人的で、科学の中では使ってはいけない表現でしょう。ただ、細胞、分子という小さな世界での生命現象を見ていると、このように言いたくなるのも事実です。そもそも現代生物学での基本物質であるDNAは、まさに続くことを体現していると言ってよい構造をしています。細胞分裂から熱帯雨林まで、あらゆる階層での生き方を見ていくと、まさにさまざまな関係の中で、巧みに続いていく姿が見えます。
中村桂子
付録について
本体からカバーを外して広げると、生命と地球の38億年の歴史が見渡せます。
掲載記事
年間テーマをWEBで読むことができます。