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SDGsとの関わり

JT生命誌研究館は、1993年の発足以来一貫して、生物種の多様性の重要性と、 それに立脚した社会の持続可能性について訴えてきました。「SDGs」は2015年9月に国連で採択され、社会課題解決へ向けた世界共通目標になりましたが、それに先んじた活動です。当館では、これまでの活動をさらに発展させることによって、今後も「SDGs」の広がりに対して貢献してまいります。

生命誌研究館のミッション:
生命論的世界観に基づく「科学的知」の創造と、その社会への還元

人間は自然の一部であり、地球 38 億年のいのちのつながりを経て存在し、多様性豊かな自然の中で生かされています。
全ての人を取り残さず、SDGs が目指す持続可能な社会の実現に貢献するため、私たちは下記の活動に取り組んでいます。

BRHが貢献する「SDGs目標」

4.質の高い教育をみんなに

9.産業と技術革新の基盤をつくろう

11.住み続けられるまちづくりを

14.海の豊かさを守ろう

15.陸の豊かさも守ろう

17.パートナーシップで目標を達成しよう

※各目標についての詳細説明は「BRHのSDGsへの貢献」を参照して下さい。

生物多様性の大切さ

地球上の生物は全て、約38億年前に生まれた共通祖先の末裔です。また、どの生物も細胞内にあるDNAで命を繋いできました。
生物は38億年の時間を掛けて、一千万種近くと推定されるまでに多様化しました。
「ヒト」は他の生物と同様に本来は「自然の一部にすぎない存在」であるのですが、科学技術を高度に発達させたことにより、自分たちが「特別の存在」であると考えるようになりました。
豊かな地球は生物の多様性により保たれています。しかし、この多様性は生物の繋がりの絶妙なバランスの上に成り立っており、バランスが崩れ一旦破壊されると元に戻すことは難しいと言われています。
「ヒト」は有史以来、自然と共に生活を営み地球に対して大きな負荷を掛けることはありませんでしたが、科学技術を利用した近年の爆発的な拡大を続ける経済活動に伴う過度な負荷により、生物の多様性が急速に失われてきています。「ヒト」の活動により地球は今まさに危機に瀕しているのです。
社会全体が生物の多様性についてその重さを認識し、行動を変えれば危機を脱する可能性があります。
BRHには生物の「共通性」と「多様性」に関する展示物が豊富にあるだけでなく、様々なコンテンツ(設備・映像・図書・スタッフによる館内案内・イベント等)も有します。更に、生物の「共通性」と「多様性」について他にはないユニークな視点から、また分かり易く説明をすることができる研究者が在籍していますので、BRHは生命科学を扱う研究者の間では一目置かれる存在です。
このようにBRHは「ヒト」が「特別の存在」ではないことに気付くための、そして生物の多様性の大切さ・かけがえのなさについて考えるための契機を提供することができる場所であると自負しております。

BRHのSDGsへの貢献

陸の豊かさも守ろう

海に生まれ陸にも広まったとされる生命体は、38億年の年月をかけて、一千万種を超えるといわれる多様な生物種に発展してきた。このようにして生まれた生物種の多様性によって、(1)生物種の住み分け、(2)生物種間の共生、(3)生物種間のバランスの取れた食物連鎖――これらが安定して営まれるようになり、各々の生物種を繁栄させてきた。生物全体の生存戦略の成果である。JT生命誌研究館は設立時より、時代を先取りして、この生物種の多様性の重要性、さらにその中でのヒトの在り方について、学術的な基盤をもとに社会の洞察を促す活動を展開してきた。

当館では、常設展示の場で、初期の生命体から、さまざまな生き物が生み出されてきた地球上の歴史を、標本やパネルを用いて具体的に示すとともに、館内案内スタッフによる「巡回ツアー」で一つ一つの展示の意義を説明している。また、生き物の多様性に関わる最新の研究を調査・発掘して、その現状を平易な表現で社会と共有する活動を、積極的に行っている。また、生物種の住み分けや共生など、生物の多様性の重要性を実感させるコンテンツについて、特別企画展を開催、映像を制作して上映、季刊誌やホームページ上での定期的な掲載などを行っている。

当館の4つの研究室では、生物の多様性を生み出してきた進化についての研究を進めている。
「昆虫食性進化研究室」では、チョウが種ごとに幼虫の食草を変えて住み分けるために、それぞれの母チョウが卵を産みつけるべき植物を瞬時に見分ける、鋭敏な感覚機構の進化を研究している。
「系統進化研究室」では、イチジク属の種ごとに異なった寄生バチに花粉を運ばせるという共生関係が、どのように進化してきたのかを研究している。
「細胞・発生・進化研究室」では、クモと昆虫の発生の仕組みの違いを、ゲノムの変化の観点から研究している。クモは、海から上陸した節足動物の祖先の一つであるカブトガニに近縁であり、海から上陸したばかりの節足動物から、どのようにして多様な昆虫が進化していったのかを示す研究である。
「形態形成研究室」では、両生類を中心に脊椎動物種ごとの発生の仕組みを比較している。脊椎動物が海から陸へと生活圏を変えるに伴って卵から親に発生する基本的なプロセスは維持しながらどこを変化させてきたのかを研究している。
これらの、生物が多様化する由来を明らかにする研究の成果は、専門誌に発表するだけでなく、ホームページ上で平易に解説し、一般社会人向けの講演を行い、さらに以下に示す様々な方法で、社会に浸透させている。

近代以降のヒト社会の大きな変化によって、ヒトが生物の共生の破壊者になりかねない今、当館が発するメッセージは、SDGsの目標の一つである「陸の豊かさも守ろう」についての科学的な根拠となっている。また、当館も一員であるJTグループの使命を記した「JTグループミッション」は「私たちJTグループの使命。それは、自然・社会・人間の多様性に価値を認めお客様に信頼される「JTならではのブランド」を生み出し、育て、高め続けていくこと。」を掲げており、多様性に価値を認めることを前提としている。上述した生物の多様性の大切さが示すことは、自然・社会・人間も多様性を持つことの大切さを示す根拠にもなっている。

海の豊かさを守ろう

生命体は海に生まれ、植物、動物の順で陸に上がってきたが、陸上の生物はなお海の豊かさに、そしてまた海も陸上の生き物の営みに、相互に依存しあっている。その結果、(1)生物種の住み分け、(2)生物種間の共生、(3)生物種間のバランスの取れた食物連鎖は、海と陸とを繋いだ地球規模のスケールで行われている。豊かな森林と生物相を源とする川によって海の生物資源が栄えている。地上を覆う森林がCO2を吸収する(グリーンカーボン)とともに、海洋の豊富なプランクトンや藻類もCO2を吸収する(ブルーカーボン)ことによって地球の温暖化が抑制されている。ブルーカーボンを効率よく生み出すのは、サンゴ礁など多様な動物と植物が共生する海の世界である一方、地球の温暖化はその共生社会を容赦なく破壊する。JT生命誌研究館がさまざまなメディアを用いて発信している科学的な情報は、上で述べた、海の生き物の多様性の維持の重要性にも向けられている。

質の高い教育をみんなに

JT生命誌研究館の表現セクターおよび研究セクターは、最先端の科学を基礎として、生物の多様性に関わる様々な課題について、いろいろな切り口から掘り下げ、それらの現状について社会に発信している。季刊誌やホームページでのわかりやすく噛み砕いた解説のほか、さまざまな「質の高い教育をみんなに」を与える活動を行っている。先に述べた「巡回ツアー」の参加者の多くは、「社会人学級」の一環として、来館された方々である。また、大学・高等学校・中学校からの「学外学習」として来館されたグループに対しては、館長・顧問・研究員が、それぞれのレベルに応じた講演を行うとともに、研究の場としての当館を紹介している。また、様々な参加者を対象とした対外講演を定期的に開催して、当館が関わる諸分野の現状について解説している。特に若い世代に向けては、サマースクールやオープンラボなどの形で、科学の現場を体験する機会を提供している。

住み続けられる街づくりを

JT生命誌研究館は、国内外の関係機関(博物館、研究機関、教育機関、行政、地域、企業等)が主催する様々な文化活動やイベントへ、できる限りの機会を捉えて積極的に参加している。パネル展示・映像上映・出張講演等を行い生物の多様性の重要性についての理解を広め洞察を促すことにより地域貢献している。また、当館4階のルーフガーデンに設置した「Ω食草園」は、生物の共生という学術的なメッセージを持った植生区画を、都市空間に導入した実例として注目され、高槻市の知名度およびイメージ向上の一翼を担っている。

産業と技術革新の基盤をつくろう

全世界が合意した2030年までに達成すべきSDGsによる未来像と現状の間に大きなギャップがあり、このギャップを埋めるためには社会の在り方を変えるイノベーション創出が不可欠である。産業界における科学研究の促進や社会インフラの構築においても「持続可能性」は優先課題であり、JT生命誌研究館はこの課題解決に向けての基礎研究を行っている。

パートナーシップで目標を達成しよう

JT生命誌研究館は、設立以来、国内外の関係機関と連携し「生物種の多様性に立脚した持続可能社会の構築」の重要性を唱えてきている。また、一貫したメッセージを学術研究の国際的な公開や、ホームページ国際版によって発信することでグローバルなレベルでの様々な施策に規範を与えている。

SDGsに関するお問い合わせ

sdgs*brh.co.jp
※上記の「*」を「@」に置き換えてください。