今号テーマ
進化を考える
DNAは個の形や機能についての「情報」が込められた分子であり、生きものの歴史のアーカイブでもあります。偶然に生じたDNAの変異が細胞を変え、個体を変え、世代を超えて集団に広がっていくという進化のプロセスは気が遠くなるほど複雑です。でも、制約だらけに見えて、時に驚くほどの飛躍を見せるのが生きものです。生きものを知れば知るほど、確かに進化のプロセスを重ねて今があるのかもしれないと感じます。科学の知を踏まえて考え、自分の眼で自然を観察し、生きものの世界を表現することは、人間らしい営みの一つかもしれません。私たちにとって、生きていることの本質に近づく作業です。
背景図:チャールズ・ダーウィン著『種の起源』に掲載された唯一の挿図。
自然選択による進化は樹の形で示せることを表現している。
RESEARCH & PERSPECTIVE DNAの変異から
進化を考える
進化は、偶然に起きたDNAの変化から始まります。その変化が世代を超えて集団に広がって、生きものの姿や生き方を少しずつ変えてきました。DNAの変化はどのように環境への適応や多様な姿へとつながるのでしょう。魚のイトヨと、オレンジ色のネコの研究から見ていきましょう。


アルティアトラシウス
私たちヒトは霊長類の生きものです。ヒトの進化を遡ると、約700万年前にはゴリラやチンパンジーと共通の祖先に辿り着きます。では、霊長類の歴史はどれくらい古くから始まったのでしょうか。
現在は砂漠となっているモロッコのワルザザート盆地。約5600万年前、そこは緑豊かな森でした。この森で、最古級の霊長類とされるアルティアトラシウスが暮らしていました。



















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