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研究員レクチャー 「昆虫の起源について」

詳細

日時

2005/04/23(土) 14:00〜15:30

場所

JT生命誌研究館 1Fコンファレンスルーム(入館無料)

出演者

蘇 智慧 研究員
(DNAから共進化を探るラボ)

参加方法

※参加無料
※事前申込不要

担当

蘇 智慧 室長(〜2024/03) (DNAから進化を探る 系統進化研究室 

内容


 
節足動物の大まかな系統関係を示している。無翅昆虫類の系統的位置は有翅昆虫類に近いのか、あるいは甲殻類よりも前に分岐したのかを、これから我々が解明していきたい。
クリックすると拡大図が見られます。

 昆虫類Insecta(六脚類Hexapoda)は分類学的に無翅昆虫亜綱と有翅昆虫亜綱に大きく分けられている。また無翅昆虫亜綱はさらに4目、有翅昆虫亜綱は26目に分類されている。従来の昆虫類の進化系統関係に関しては、基本的に有翅昆虫類は無翅昆虫から生じ、翅を発達させて進化してきたと考えられている。しかし、近年の分子系統解析の結果、昆虫類を含む節足動物門の系統関係は大きく変貌している。
 従来、六脚類は多足類(ムカデなど)から分岐して進化してきたと考えられていたが、様々な分子を用いて節足動物門の系統関係を再構築したところ、多足類は鋏角類(クモなど)に、六脚類は甲殻類(エビなど)にそれぞれ近縁であることが分かった。このことは、六脚類が多足類に由来したのではなく、甲殻類に起源したものであることを示唆した。
 一方、六脚類の系統進化については、最近ミトコンドリア遺伝子に基づく幾つかの研究があるが、従来の考え方を支持したり、逆に六脚類の多系統性(無翅昆虫類と有翅昆虫類が単一起源でない)を示唆したりして、結論が出ていない。
 今回の研究員レクチャーでは、昆虫類の起源に関する研究の現状についてお話しします。

このイベントを開催する研究員をご紹介

蘇 智慧 (室長(〜2024/03))

  • 研究分野 系統・進化・種分化・多様性 学位
  • 学位 博士(農学)

カイコの休眠機構の研究で学位を取得しましたが、オサムシの魅力に惹かれ、進化の道へと進みました。1994年から現在に至るまで、ずっとJT生命誌研究館で研究生活を送ってきました。オサムシの系統と進化の研究から出発し、昆虫類をはじめとする節足動物の系統進化、イチジク属植物を始めとする生物の相互作用と種分化機構の研究を行っています。

DNAから進化を探る 系統進化研究室 

レクチャーについて

JT生命誌研究館の研究員をはじめとするさまざまな分野の研究者が、探究と発見の日々をお話します。
進行形の研究、そこで考えたこと、苦労話など研究を身近に感じる絶好の場です。
レクチャーを聞いた後には、会場も一体となって話の輪が広がります。入場無料です。