中村桂子さんは、科学者であり、哲学者であり、何よりも生活者です。
毎朝、お陽様が昇るように、一日一日をきちんと生きる。
当り前だから難しい、今、いちばん大切な生き方が、ここにあります。
東日本大震災を経た今、「人間は生きものであり自然の一部」と語る中村のメッセージは、科学や芸術の枠を超え、共感の輪を大きく広げています。
三月十一日の震災の後、宮沢賢治を読み直した中村は「生命誌版 セロ弾きのゴーシュ」の舞台化、そして賢治の故郷である盛岡・花巻への旅をします。
科学者として、生活者として、生きものを見つめる中村の姿から、自然との関わりの中に「いのちの音」を見出す賢治の生命観が浮かんできます。