論文
Oda, H., Nishiguchi, S., Song, C., Murata, K., Uchihashi, T., Suzuki, Y.
Nanoscale Visualization of Drosophila E-cadherin Ectodomain Fragments and Their Interactions Using DNA Origami Nanoblocks
Journal of Molecular Biology 437 (2025)
解説
DNAオリガミ技術で作ったナノ構造体を使ってカドヘリン接着分子の相互作用を可視化
カドヘリンは、細胞と細胞をつなげ、からだの形作りに働く、多細胞動物にとって極めて重要な分子です。しかし、接着分子として働いている状態の分子構造を可視化することは難しく、接着を担う分子構造の多様性について十分な理解は得られていません。今回、DNAオリガミ技術で作ったナノ構造体を使ってショウジョウバエのDEカドヘリンの個々の分子構造と分子間の相互作用をナノスケールレベルで可視化しました。他の多様な接着分子に適用可能な方法を示した研究成果です。論文はこちらから期間限定で無料で閲覧できます。
今回、DEカドヘリン細胞外領域断片をDNAオリガミに固定化して観察したことによって分子領域を2つに分けるようにヒンジ様の部位(矢印)が存在することがわかりました。分子の形がこの部位で折れ曲がってフレキシブルに変化することが考えられます。スケールバーは10nm (1mmの10万分の1)
左右に対象な二量体のように見える分子像もありました(点線で対象軸を示す)。
高速-原子間力顕微鏡を使った観察では、ひとつのDNAオリガミの別の部位に固定化されているDEカドヘリン断片の間で結合/解離している様子も見られました(矢頭)。
DEカドヘリン断片の相互作用を介して2つのDNAオリガミ構造体が対合している様子も観察されました。紐様に連なる分子形態が見られました(矢印)。しかし、カドヘリンの個々の形態を捉えることがは難しく、どの部分が分子間の結合に使われているのかははっきりしませんでした。