論文

Oda, H., Tagawa, K. and Akiyama-Oda, Y. (2005) 

Diversification of epithelial adherens junctions with independent reductive changes in cadherin form: identification of potential molecular synapomorphies among bilaterians

Evolution & Development 7, 376-389.

解説

 多細胞動物に見られるクラシックタイプのカドヘリンのドメイン構成の多様性を説明しうる進化プロセスを推定した論文。細胞内領域のアミノ酸配列で定義しうるクラシックカドヘリンは多様なドメイン構成からなる細胞外領域をもつ。この研究では、節足動物を中心に様々な左右相称動物から新たな情報を得て、クラシックカドヘリンのドメイン構成を比較解析した。その結果、カドヘリンリピートを17個もつ祖先型から独立の短縮化によって少なくとも3つの派生型(昆虫型、脊椎型、頭索型)が生じたことが推定された。祖先型のカドヘリンは棘皮動物と非昆虫節足動物の一部で、短縮化したカドヘリンは3つの動物系統それぞれで上皮のアドヘレンスジャンクションに存在していた。上皮のアドヘレンスジャンクションの中に、遠い過去に起こったゲノム変化の痕跡を残す形質状態が見出された。カドヘリンのドメイン構成には、動物の系統関係を示す貴重な情報が含まれている可能性が確認された。この研究では、左右相称動物の初期進化で起こった遺伝的変化の結果を上皮細胞の普遍的構造の中に見出している。


ラボニュースへ

一覧へ戻る