論文

Sasaki, G., Ishiwata, K., Machida, R., Miyata, T. and Su, Z.-H. (2013)

Molecular phylogenetic analyses support the monophyly of Hexapoda and suggest the paraphyly of Entognatha.

BMC Evolutionary Biology 2013, 13: 236. doi:10.1186/1471-2148-13-236

解説

  •  近年の分子系統学の研究によって、節足動物の系統進化に関する理解が大きく変わった。多足類から分岐して進化してきたと考えられていた六脚類は、甲殻類に近縁であることが明らかになった。しかし、六脚類の起源を明らかにするためには、六脚類と甲殻類との関係および六脚類の祖先グループである内顎類の系統関係を解明しなければならない。本研究は3つのオーソロガス核タンパク遺伝子を用いて、六脚類の全ての目と一部の甲殻類の代表的サンプルを含む汎甲殻類の系統解析を行った。その結果、六脚類の単系統性が強く支持される一方、内顎類の3目の系統関係に関しては、これまで提唱されていた、内顎類 (Entognatha)、無尾類 (Ellipura)と無眼類 (Nonoculata)の単系統性を否定し、分子データから初めてカマアシムシ目 (Protura) が六脚類において最も先に分岐した系統であることが示唆された。本研究の結果は六脚類の起源や昆虫の上陸に関する理解に新たな知見を与えた。

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