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今号テーマ

「続く」というあたりまえのこと

生きもののはたらきやしくみは、続いていく(継続)ようにできています。現代社会は効率(利便)、役立つ(有益)などを求め続けたために生きものの継続が危うくなっているのが気になります。今年は生きものを考える際の基本、別の表現をするなら「あたりまえ」のことである「続く」を考えます。生きものが続くと聞くと遺伝や遺伝子が浮かぶでしょう。確かにDNAが生きものが続くための基本を支えていますが、大事なのはDNAが渡されることではなく、そのDNA(ゲノム)がはたらいて個体を作っていく(発生)ことなのです。倉谷滋さんとのトークでは、生きものは、ゲノムが形づくりの中でもつ拘束のもとに新しいものを産み出しながら続いていくので、共通でありながら多様という生きものらしさが生まれるのだという基本を確認しました。リサーチは熱帯林の多様性と文楽という、あたりまえのように続いてきたものの陰にある続くためのしくみに目を向けました。サイエンティストライブラリーは、薬の合成という人工の世界から自然を知る分野に移り、RNAウイルス感染予防に役立つ仕事をなさった吉田光昭さん。好きと役立つを結びつけています。

TALK

形づくりが語る進化の物語

倉谷滋理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター
中村桂子JT生命誌研究館 館長

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SCIENTIST LIBRARY

吉田光昭東京大学大学院客員教授/東京大学名誉教授

ヒトのがんウィルスに挑む

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CARD

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2008年年間テーマ

続く

生きているとはどういうことか考えようとするなら動詞でなければならない。そう気づいてこれまでに「愛づる」、「語る」、「観る」、「関わる」、「生る」という切り口で考えてきました。生きもの研究は本当に多様で、一つひとつを見ていると、形にも生き方にもそれぞれの特徴が見えて楽しいものです。一つの細胞である卵からそれぞれの生きものに特有の姿、形ができ上がっていく発生過程にも、カエルにはカエル、クモにはクモ、決して同じではない独自性があります。何故そんな風にやるのと聞きたくなるほどです。しかし一方で、どの生きものにも共通するところがあります。その基本が「続く」です。生きものとは続くものであると言っても過言ではありません。

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4/5(金)まで

桜の通り抜け(JT医薬総合研究所 桜並木) 3/26〜4/5