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  3. 季刊「生命誌」39号

一つ一つの生きものが、それぞれの時を刻んで生きる様子をみつめていると、環境との関わりの中でさまざまな生きものが生れ、大きな生命の流れがつくられていく様子が見えてくる。今回の“愛づる”は一つの生きものを見つめる眼が広い視野へつながって行くところを捉えた。

トークは「愛づる眼差し」。対象をみつめ、それを写して初めて精神性の高い芸術になると考えた円山応挙。佐々木先生の語る応挙は、また一人日本の歴史の中に生命誌の先輩を浮かび上がらせてくれた。リサーチは進化。DNAの解析と地質学を重ね合わせて淡水魚アロワナの生態を歴史から読み解く研究は当館のオサムシ研究と、形づくりの基本を単純な生物から知ろうとするボルボックス研究は当館の藻や骨の研究と重なり合う。さまざまな生きものを見つめることで、少しずつ生命の物語が紡がれる。サイエンティストライブラリーは、人間を知る生物学をつくりたいと願い、そのための技術を地道に組み立ててきた勝木元也氏。(中村桂子)

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2003年年間テーマ

愛づる

生きているとはどういうことかを考えるなら動詞でなければならないと気づいて今年から年間テーマを動詞にしました。最初はやはり、研究館が基本にしている「愛づる」です。「蟲愛づる姫君」は皆が嫌う虫の中に生きる本質を見出し、それを愛しみました。愛づるは、表面の美しさには左右されず、本質を見ることから生まれる愛です。いのちは大切と誰もが言いながら、実は社会は反対の方向へ動いています。ゆっくり時間をかけて生きものをみつめると生まれてくる心「愛づる」を思い出しましょう。日本人の中にずーっと流れてきた愛の気持ちです。

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シンポジウム

5/18(土)13:30〜15:45

虫の会(拡張版)第三回 「ピン留め」と「退縮」で作る昆虫の鋭い構造