季刊誌「生命誌」通 巻32号 
サマーセミナー
BRH News
サマーセミナー「サイエンスコミュニケーション 展示を作る
 2001年8月23・24日、こちらから教えたり伝えたりするのではなく、一緒に考え、手を動かして形を残すことを目的にしたサマースクールを行なった。
 館内に展示中の「骨と形」展にあわせて「骨格」についての疑問や面白いと感じたことを展示できる形にするのが課題。たった2日で展示を作るのは、無理な話なので、まずは伝えたいこと、やりたいことをあらかじめメールで知らせてもらい、科学面のサポートは青山裕彦研究員に、表現については私の担当で、8名の参加希望者とメールのやりとりをした。それぞれ、伝えようとすると、資料がない、材料がない、そんなに都合よく生きものはできていない、と難問続出。約1カ月半かけたやりとりの末、どうにかテーマと作るものが決まった。
 いざ、当日。館長・副館長ともに「小学校の工作の時間になりそう」と楽しそう。
 だが、実験に基づく事実という拘束の中での伝える工夫という思考回路は皆、日常使っていない。頭で考えるだけなら何でもできるが、実際にやると難しいことだらけだ。
 サイエンスコミュニケーションは、伝えたい内容をもつことと表現力が要求され、表現法の工夫に独創性を活かすところに醍醐味がある。今回のスクールでは、BRHのメンバーも全員参加し、伝えることの選択に悩み、表現法を考え工夫する過程を共有した。最初ためらっていた研究員が以外な才能を発揮するなど、生命誌のコンセプトでともに活動していることの意味を実感したのも大きな収穫だった。参加者の中からこういう仕事をしたいと思う人が出るだろうか。とても楽しみだ。

林部京子:関節が曲がる時の筋肉と骨の関係がよくわからないので、作って確かめたい!動きを体験できる模型を製作。
谷陽子:拾ったタヌキの肢体で骨格標本製作。これにはBRHの研究スタッフが大喜び。実物でたっぷりと勉強したのでは!?
水谷達志(左):手とヒレについて何が同じどこが違う?複雑な部分を立体化して、遺伝子の働きと形の違いを伝えた。
山岸敦(左):名古屋大学
大学院生命理学研究科に在籍する本職なので、当日は水谷君の科学面をサポート。
滝野亜規:ミミはアゴからできた。事前にBRHに来て蛇、蛙、イモリを解剖し、じっくり観察から開始。2段階踏んだので、当日はわかりやすく省略するという次のステップに入れた。
若林陽子:「関節の生きものの動き」と、テーマ決定は早かったが、実際にものを作る資料を探すのに手間取ったのが残念。最後の発表では作ったものが効果的に活きていた。
雨宮幸江:事前のやりとりが少なかったのが残念。しかし明るくオーウェンの立体模型製作にチャレンジ。
中越有希:上下左右に分かれるヘビの顎の動く模型を作って大きなものが飲み込めることを示した。星の王子様に引っかけたストーリー立てで表現!!
BRHの研究スタッフも楽しんだ。
(工藤光子/本誌)
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