季刊誌「生命誌」通 巻28号 
新作ビデオ登場
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新作ビデオ登場「ゲノム伝〜大胆に変化してきた38億年」

1)舞台となった京都府美山町の茅葺き屋根の民家。釣りから帰ってくるおじいさん(オープニングの撮影)。
2)イワナの撮影現場。民家の生け簀で泳いでいるものを撮った。
3)近くの麦畑でトビを撮影。
4)近くの川で。カメやイモリなどいろいろな生きものがいる。
5)撮影に協力してくれたアカハライモリ。
 −ある老人が納屋の奥から古い絵巻を見つけました。そこには長い生き物の歴史が描かれていました。老人はその巻物の不思議な力に導かれてゲノムの物語の世界に入っていくのです―。

 タイトルは「ゲノム伝〜大胆に変化してきた38億年」。ゲノムが進化の過程でどのような変化をしてきたかをテーマにしたビデオです。
 ゲノムの中にはたくさんの遺伝子があり、それが協力して働いたりするのですから、ゲノムの変化、さらには進化につながります。遺伝子が移動したり、ゲノムが丸ごと重複したり、他の生物から代謝系をまとめて取り入れたり…。ゲノムは想像以上に「大胆」な変化をしてきたことが最近の研究からわかってきています。
 私もこのビデオを企画する前は、突然変異による小さな変化の積み重ねで進化がおきると思っていたので、制作している間は、驚きの連続でした。それにしても、どうして行き当たりばったりのゲノムの変化が、うまく進化につながるのかがずっと不思議だったのですが、変異をため込むタンパク質(HSP90)があることを知り、そうだったのかと納得。早速物語りに取り込みました。映像で抽象的な内容を伝えるのは難しく、どうすべきか悩みましたが、科学は本来抽象的なもの、そこから逃げていては科学映像の進歩もないと思い(ちょっと生意気ですが)、挑戦することに決めたのです。このビデオの制作で一番苦労したのはここです。
 制作にあたって、もう一つ力を入れたのは、楽しく身近なものとして伝えるということです。科学映像の演出には共通 のパターンがあって、どうも堅苦しい。そこを破りたいと苦心していたところ、中村桂子副館長のアイデアで昔話に仕立てることになりました。
巻物を見終わり、鍋を食べ始める藤村俊二おじいさん(エンディングの撮影)。
 老人役は藤村俊二さん、ニワトリやカイコ、カイメンやナメクジウオなど馴染みのあるものないもの、いろいろな動物が登場するとても楽しい話になりました。ビデオブースで観られますので、ぜひご来館なさって、藤村おじいさんと一緒に驚いたり考えたりしてください。
(本誌/工藤光子)
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