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BRHニュース

特別展「チョウの翅(はね)が語る生命誌」

編集部

チョウの翅を見てきれいだなと思う。誰もがもつこの気持ちを出発点に、生命誌の旅をします。

ていねいに翅を眺めて下さい。まず形が面白い。モンシロチョウのように丸い感じのもの、アゲハチョウのようにギザギザのたくさんあるもの。なかには後翅が長く突出しているもの(尾状突起という)もあります。種類によって決まったこのさまざまな形がどのようにしてできてくるのか。さなぎの中で翅ができてくるところを追うと、プログラムされた細胞死という今話題の現象が見事に観察できます。次に、チョウの翅で興味を引くのは紋様です。これもまた種類によって決まっており、仲間を見分けたり敵を脅す役割をしています。あの複雑な紋様がどのようにしてできてくるのかにも迫ります。

①ベニモンスカシジャノメの眼状紋の拡大写真。眼状紋にだけ鱗粉が集中している。

さまざまな変異も面白い。まず、同一種なのに、生まれてくる季節や地域の違いによって、見た目が全然異なる季節変異や地域変異。尾状突起がなくなってしまった変異体や、実際の研究で利用された眼状紋(翅にある目のような模様)の変異体など。変異は進化の原動力であり、発生のメカニズムを探る手だてを与えてくれます。変異体を通して、進化や発生を実感していただきたいと願っています。

標本以外にも、CGによるビデオや、写真がふんだんに盛り込まれたパネルなど盛りだくさんです。ビデオでは、チョウの翅ができていく様子や、翅作りに関わる遺伝子を紹介し、パネルでは、鱗粉の科学、翅の形の作られ方、眼状紋の遺伝子レベルでの研究などをお見せします。

チョウの翅の美しさを生み出してきた生命の物語の一端を大いに楽しんでください。

10月から始まった特別展「チョウの翅が語る生命誌」です。
(鳥居信夫/ 本誌)

②アゲハチョウの成長過程。驚いたことに、翅は卵のときにすでにでき始めている。表皮から翅はできてくるのだ。展示では、CGによって翅ができるところが再現されている。

③蛹の中から翅を引っぱり出したところ。

④なんとこの3匹は同じ種類!!

ナガサキアゲハの地域変異体で、生息地域は左から順に、シマルーエ島(インドネシア)、マレー半島中央部、ボルネオ島北部。同じ種類だとはとても信じられないチョウたちが他にも展示されている。

※所属などはすべて季刊「生命誌」掲載当時の情報です。

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4/5(金)まで

桜の通り抜け(JT医薬総合研究所 桜並木) 3/26〜4/5